『ペットショップにいくまえに展2014』は9月25日より西荻窪・URESICAでスタート。かわいらしいDMのイラストは人気の妖怪絵師・石黒亜矢子さんが手がけている。

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私達の毎日の暮らしに寄り添ってくれる犬や猫といったペットたち。しかし、飼い主の事情で捨てられてしまったり、その捨てられたペットが生んだ子供など、残念ながら殺処分されてしまう犬や猫は合計で年間で16万頭余り(平成25年度)にものぼるという。

以前にコネタでも紹介した書籍『ありがとう! わさびちゃん』などのヒットもあり、不幸なペットを殺処分から救うためのさまざまな試みについて徐々に認知度が高まってきている昨今。石黒亜矢子さんやヒグチユウコさんら人気の画家やクラフト作家といったアーティストたちが集い、ペットをめぐる諸問題を多くの人に知ってもらおうと作品展示やチャリティグッズの販売を展開する『ペットショップにいくまえに展』が、9月25日より西荻窪のURESICAでスタートする。

この展覧会がスタートした経緯や見どころについて、会場のURESICA・カマタユリコさんにお話をうかがった。そもそものきっかけとなったのは、絵本作家・どいかやさんが2010年開催の個展用に、どいかやさん構想によるフリーペーパー『ペットショップにいくまえに』を制作したこと。

「かわいい絵で興味を惹きつつペットたちを取り巻く事実を知ってもらいたいという、どいかやさんの絵本作家ならではのアイデアでした。会期中には作家の渡辺眞子さんとどいかやさんで“犬猫トーク”と題し、殺処分やペットにまつわる問題をお話いただくイベントも開催しました。その展覧会をきっかけに、2011年からは『ペットショップにいくまえに』展として主旨に賛同してくれた作家のグループ展という形になったんです」

今年で4回目を迎える『ペットショップにいくまえに』展。
発起人のどいかやさんや、先述の『ペットショップにいくまえに』に触発されてフリーペーパー『ネコの種類のおはなし』を制作したという絵本作家のとりごえまりさんを中心に、毎年新たな作家たちが加わって、平面作品だけでなく陶器や木工、ガラス、段ボール彫刻など幅広いジャンルの作品を展示。今年は京都のギャラリーnowakiとレティシア書房でも、9月28日まで連動展が開催されている。

実力派の作家が思い思いにペットをテーマにしたアート作品のほか、キュートなデザインのお菓子を出品するお店も含めて約20組が参加。ミニ絵本『ねこだっこしたら』、ポストカードなど、チャリティグッズの販売も行われる。

「今年のインパクトあるDMの絵を描いてくださった石黒亜矢子さんとは、展覧会にあわせて小冊子『てんまると家族絵日記1』を作りました。この売上げの一部は、動物保護活動のための寄付金にします。参加作家には、石黒さんとも親交のあるヒグチユウコさん、町田尚子さん、去年に新潟で行った展示に参加されたスドウピウさんや早川純子さん、西荻窪にご縁のある杉浦さやかさんほか、人気作家目白押しの豪華メンバーです。愛護団体を介して猫の里親になったという寅印菓子屋さんも、猫をテーマにしたお菓子を出品してくださいます」

ペット好き&アート好きにとってはかなり興味をそそられる今回の展示。会場のURESICAでは海外のセレクト雑貨やクリエイターたちのグッズなども扱っているので、ショッピングがてらのぞいてみるのもオススメだ。

「動物が好きな方もそうでもない方も、タイトルに『えっ?』と思われた方も、まずは展示作品を楽しみにいらしてください。そしてフリーペーパー『ペットショップにいくまえに』を、ぜひ読んでみてください。身の回りの動物のこと、ペットショップの動物たちはどこからきたのか、売れなければどこへ行くのか……などなど、人間社会を考えるきっかけにもなると嬉しいです」
(古知屋ジュン)

◆『ペットショップにいくまえに展2014』
会場:URESICA
日時:9月25日〜10月13日 12:00〜20:00(会期中の火曜は休み)
料金:無料
※10月5日14:00より獣医師・作家の南部和也さんらによるトークイベントあり(要予約)