「甲子園の土」は、カプセル入りで1つ380円(税抜)というリーズナブル価格

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暑い夏の風物詩、高校野球。
そんな高校野球でグッとくるシーンと言えば、負けたチームの選手たちが甲子園球場の土をかき集める場面。

厳しい戦いを勝ち抜いてきた者だけが踏むことのできる甲子園の土。全国の球児たちの汗と涙が沁み込んだその土を一生の記念にと持ち帰る姿は涙を誘う。

涙を誘われつつ、高校野球ファンならこう思うかもしれない「あの土、欲しい……」。

甲子園の土を一般向けに販売して欲しいという声は球場側へも絶えず寄せられてきた。しかし阪神甲子園球場ではそういった商品は一切販売されていない。

そんな中、今年、2014年に90周年を迎える甲子園球場では、記念事業として甲子園の土が入ったキーホルダーなどのグッズを春と夏の高校野球大会の開幕時に無料配布した。しかし、配布日が限定されていたこともあり、これらはオークションサイトで1つ1万円近くの高値で取引されている。

一方、甲子園球場のグラウンド整備を担う「阪神園芸」からは、甲子園球場で使用されているものと同じ配合の土が、2010年に「阪神園芸グラウンドキーパーの土」という名で販売された。しかし、あまりの売れ行きの激しさから、すぐに一般向け販売を中止。現在ではあくまで実用を前提に10袋単位で販売されている。10袋での価格は22,000円。1袋が15リットル入りというから、これを個人で購入するのはなかなか難しい。

と、入手へのハードルがかなり高めに設定されている甲子園の土。その貴重な品を販売するショップがあるという。しかも、カプセル入りで1つ380円(税抜)というリーズナブル価格。これなら気軽に買えそう!

販売しているのはスポーツ用品の総合通販ショップ「オーゾネ」。幅広いジャンルのスポーツ関連アイテムが安心価格で手に入ると評判のショップである。

この商品についてお店側に問い合わせてみたところ、「甲子園の土」の販売を始めたのは5年ほど前だという。甲子園を目指す球児の中でも甲子園の土を踏めるのはほんの一握り。たとえ甲子園に出場できた学校でも、ほとんどの部員たちはスタンドで応援し、実際に甲子園の土を踏む事ができずに終わってしまう。そんな球児たちの思い出になれば……といった思いから販売をスタートしたという。

また、当ショップではカプセル入りのほかに30キロ入りの土も売られているが、そちらについては甲子園と同じ感触で練習をしてもらうために販売されているもの。ピッチャーマウンドや黒土の不足部分に使用するのに適しているそう。

もちろん中身は「実際に甲子園球場に撒かれていたもの」ではなく、「球場で使用されているものと同配合の黒土混合土」とのこと。

それでも販売開始以来、全国からの注文があるそうで、購入者は高校の野球部員から甲子園ファンの個人購入までと幅広い。記念品として野球部全体で購入されるケースも多いという。中には甲子園出場校からの注文もあったというから、やはりグラウンドを踏めなかった部員たちのためにプレゼントされたのかもしれない。

さまざまな人にさまざまな思いで購入されているであろう「甲子園の土」だが、オーゾネとしてはやはり特に「甲子園を目指している球児、甲子園の土を踏む事ができなかった球児たちに買ってもらいたい」という。

そんな話を伺うと、筆者のようなただのおじさんが購入するのも気が引ける思いだが、部屋のインテリアにぜひ購入してみようと考えている。
(スズキナオ)