フォルダをいじるテイで、読みたい文学を選ぶ。

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「勤務時間中にどれだけサボれるかが勝負」とは会社務めの知人による弁だが、みんなそうなんでしょうか? 例えば周囲にバレずにTwitterしてたりとか、仕事してるテイでYouTubeを見ていたりとか。
いや、息抜きは確かに必要だと思います。でも、バレたら大変! サボタージュ自体は止めませんが、ぜひとも慎重に……。

では、息を抜きたい方へ絶好の方法をご紹介しましょう。7月にたち上がった「怠惰文庫」なるサイト、ちょっといいですよ。仕事してるフリをして、じっくり小説が読めます。
いや、普通に読んでたら確かにモロバレ。このサイト、文章の掲載方法に一捻り加わってるんです。

まず同サイトへ訪れると、20個(2014年8月現在)のフォルダがずらーっと並んでいます。これらのフォルダ名をチェックすると「こころ」だったり「人間失格」だったり「ヘンゼルとグレーテル」だったり。……これって、名作文学のタイトルばかりじゃないですか! じゃ、試しに「こころ」フォルダをダウンロードしてみましょうか。そしてこのフォルダを開けます。すると、中には8812個ものフォルダが!
では、これらのフォルダ名を読んでいきます。「私(わたくし)はその人を常に先生と呼んでいた」「だからここでもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない」「これは世間を憚(はば)かる遠慮というよりも」……。そうです、そのまま小説が進んでいくのです!
要するに、仕事中にフォルダをチェックしてるフリして文学が楽しめてしまうサイトの誕生です。

これ、頑張ってない会社員にはうれしいサイトだろうなぁ。
「実は極めて個人的な“作品”であり、ビジネスパーソン向けのサイトではありませんでした。サービスのような顔をしていますが、私としては一つのメッセージとして作っています」(サイトの企画・開発に携わった佐藤ねじ氏)

“メッセージ”とは、何ぞや? それは「みんながいつも見ている『フォルダ』も、こんな使い方をしたら面白いですよ」という、新しい視点の提示である。それを「働いてるときに、こっそりサボれるよ!」という文脈に乗せたら、このサイトが出来上がった。
「思った以上に、仕事で使おうとしてる人からの反響が多かったです。『こっそりサボりたいというニーズはこんなにも多いのか?』と、逆に驚きでした」(佐藤氏)

ちなみに現時点での一番人気は、「美少女」フォルダ。言わずと知れた太宰治による名作であり、中には497ものフォルダが収まっている。
「オーダーがあれば、今後もフォルダの数は増やしていこうと思います」(佐藤氏)

もちろん、「怠惰文庫」には数多くの反響が寄せられている。最も多いのは「この発想はなかった」というリアクション。
「あとは『こんなんじゃサボれない!』と、お怒りの声もチラホラ寄せられています」(佐藤氏)
いや、そんな開き直ってサボるなよ!
(寺西ジャジューカ)