ラーメン付きには理由がある。

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CDに握手券が付いているアイドルグループといえば、AKB48。もはやおなじみの特典ですよね。
しかし、こちらも負けていない。なんと、CDにインスタントラーメンを付けて売るアイドルが現れました! アイドルユニット「デスラビッツ」が7月16日にリリースした3rdシングル「お祭りJAPAN!!告白Night」が、それ。

ではまず始めに、「デスラビッツ」についてからご説明しましょうか。
「彼女たちが所属するレコード会社の部長が、『アイドル紛争時代を生き抜く為には、俺がたたねばならない!』と勘違いし、自慢のデスボイスとハードコアサウンドを武器に新ユニットを結成!! 36歳・190cmで完全武装の部長と、小学生〜中学生のアイドルとのコラボレーションは禁断の領域を凌駕し、銀河を平和の時代へと誘う起爆剤となった」(ホームページから)
12〜13歳のメンバー3人と、36歳の部長職男性、計4人により構成されているユニットのようです。

そんなユニットが、どうして“インスタントラーメン付きCD”を発売したのか? そのあたり、メンバーの1人・部長に聞いてみました。
「今回リリースされた『お祭りJAPAN!!告白Night』は、部長が好きなハードコアテイストが全く反映されないで制作が進んだんだよー! それを回避しようとね、”対プロデューサー陣”用にプレゼン資料作りで残業していたら、お腹すいちゃってさ〜。その時、ラーメンに救われたので『ラーメン付けよう!』って事で、現在に至るんだ(笑)」(部長)

動画にもなってるけど、本当に作業中にラーメン食ってるぞ……。

そして注目は、カップリング曲の「残業中にラーメンをすする」。まさにそのまんまのタイトルだが、歌詞がカオスです。
“ラーメン! ラーメン! すすれ! ラーメン! 概念! 壊せ! ラーメン! 来年! 亡命!”
なんですか、これは……。
「『お祭りJAPAN!!告白Night』は他のメンバー3人&プロデューサーの暗躍により、ハードコアテイストを入れられなくってね。ならばカップリング曲に徹底したハードコア要素を入れなきゃと思い、それまでの経緯を思い出してたら、なんだか腹立たしくなってきてね! そこがハードコアの“激しい”部分にシンクロし、歌詞も過激になったんだよね〜」(部長)
だからって、なぜラーメンなの……。
「『お腹すいたな〜』→『腹が減っては戦はできぬ』→『戦い』→『ハードコア!』って方程式が部長の頭を駆け巡ったのは秘密だけど(笑)」(部長)

というわけで、そろそろ同封されているインスタントラーメンにも注目したい。これは、会津喜多方の製麺所「五十嵐製麺」によるもの。喜多方醤油味(細麺)のラーメンに仕上がっているようです。
「きっかけは、某展示会。フラフラ〜っと会場を回っている時にいただいた商品サンプルが部長のデスクにあったんだー。それを残業中に給湯室で作っている時に、何気なくスマホで販売元を調べていたのだけど、『1949年設立』という長い歴史、飯豊山系のおいしい水を使った麺、万全の衛生管理体制で行う品質チェックなど、細かなところまで気を配っているシステムに感動したんだ。超大手製麺メーカーじゃ、こんな“心のこもった”ものづくりは難しいでしょ?」(部長)

そんなに言うなら、食べてみたいなぁ。……というわけで、入手して食してみました!
さて、インスタントラーメンの袋を開けると、中には麺とCDが入ってます。「乱暴な梱包だな」と思いきや、ラーメンの調理工程中に実はCDが役立つみたい。そんなラーメンの作り方は、以下のとおりです。
(1)プレイヤーにCDをセットし、鍋に約550ccのお湯を沸騰させ、麺を入れると同時に再生ボタンを押す。
(2)カリンちゃんとユズちゃんが頑張って3キロやせたころ(約2分後に「この日のために3キロやせた」という歌詞が登場する)で麺をほぐし、そのまま曲が終わるまで聴く。
(3)えみちゃんの告白が無事に終わったら(「大好きです!」という歌詞が登場する)しばらく余韻に浸り(約30秒)、火を止め鍋の中に添付のスープを入れ、よく混ぜる。
(4)器に移して、お好みによりメンマ、チャーシュー、ゆでたまご、ねぎなどを添え、2曲目の「残業中にラーメンをすする」を聴きながら召し上がる。

というわけで、出来上がりました。じゃあ、いただきます。……あっ、麺にコシがあって、歯ごたえが気持ちいい! スープも昔を思い出すような風味で、“懐かしのラーメン”という形容がピッタリ。でも、それでいて本格派。この手のラーメンって、探してもなかなかないのでは。
確かに作業の手を止めた丑三つ時にこそ、食べたいラーメンでした!

それにしても、この「CD+ラーメン」という新し過ぎる試みに対して、一体どんな声が寄せられているのだろうか。
「驚いた事に、批判や不評を聞かないんだ〜。この国は“新しい事”や“目立つ事”をやる時、称賛と非難に分かれるだろ? ただ今回は、現場でもSNS上でも『おいしかった』『また食べたい』と、うれしいメッセージが届くんだ。音楽流通に食品ってのは本当に厳しいハードルだったけど、やって良かったよ!」(部長)

ちなみにインスタントラーメン付き“特別盤”の価格は、“通常盤”と変わらず926円(税別)。価格が変わらないなんて、赤字度外視で発売しているのだろうか?
「もちろん、もうけたいですよ! ただ今回は『部長』と『3人&プロデューサー陣』の戦いでもあった。楽曲でやりたい事ができないなら、『演出=販売戦略』でやりたい事をやるしかないかな〜って」(部長)

事情は何にせよ、買い手側としてはうれしい状況に着地しました。じゃ、曲を聴きながらラーメンをいただきますか!
ラーメン! ラーメン! すすれ! ラーメン! 概念! 壊せ!……
(寺西ジャジューカ)