メス化した魚、スペイン河口域で確認される

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スペイン、バスク自治州の河口域で、ボラの精巣のメス化が進んでいることが判明した。さまざまな遺伝子マーカーでも、メスの特性の獲得が確認されている。

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スペイン、バスク自治州の河口域(三角江)において、ボラの一種「thicklip grey mullet」(学名Chelon labrosus)の雌性化(メス化)が進んでいることが、バスク大学の「環境毒性学における細胞生物学グループ」が行った調査で明らかになった。

オスの精巣が雌性化しているほか、さまざまな分子マーカー(遺伝子マーカー)においても、メスの特性の獲得が確認されている。

メス化の原因は、ボラのエストロゲン濃度を高める環境中の汚染物質(内分泌攪乱物質:通称環境ホルモン)だと考えられている。

バスク地方にあるウルダイバイ生物圏保護区における内分泌攪乱物質調査プロジェクトの責任者であるミレン・P・カハラビルは、「この地方の三角江全体で、内分泌攪乱の現象が起こっている。これはすなわち、ほかの国々で確認されているような汚染物質の問題が、この地方でも生じていることを意味する」と述べている。

これら汚染物質の出所としては、経口避妊薬や香水、洗剤、農薬など、人々が日常的に使用している製品が考えられる。これらの製品に含まれる化学物質は、魚の体内で内分泌攪乱を起こし、一部ホルモンを混乱させることがある。このような現象が生態系で確認されるようになったのはごく最近のため、これら汚染物質が及ぼす影響の全体像は、まだほとんどわかっていない。

この地方の三角江に汚染物質がみられるようになった大きな原因は、工業型農業と、汚水処理プラントの処理システムだと考えられている。「われわれが最も有力視しているのは、汚水処理施設が出所だとする説だ」とカハラビル氏は言う。「そこは、われわれが最初に調査した場所だが、現在もなお、新たに見つかっている汚染物質の最大の発生源となっている」。

調査の標本は、バスク自治州のアリルゼおよびゲルニカで2007年と2008年に採取され、その後、サントゥルツィ、プレンツィア、オンダロア、デバ、パサイアと、計6つの地域で採取された。

調査の結果は2本の論文にまとめられ、それぞれ『Science of the Total Environment」』誌と『Marine Environmental Research』誌に発表されている。