日南学園1年生が2年連続V

日南学園先発・伊地知

 7年ぶり2回目の優勝を狙う都城東(1年生部員21名)と、2年連続5回目の優勝を狙う日南学園(1年生部員31名)の顔合わせとなった決勝。 1年生大会で勝つには、第1に、ゲームを作ることができる投手がチームにいるか。第2に、守備のエラーやミスを最小限に抑えて、攻撃勝負のゲーム展開ができるかどうかがカギ。そのような戦いを制して決勝まで進んだ両校であったが、決勝戦ではその差が勝敗を分ることとなった。

 1回表、都城東の攻撃。2番山下竜、3番福永篤、4番平井の3連打で一死満塁のチャンス。 都城東ベンチとスタンドは一気に盛り上がった。決勝まで勝ち進んだ勢いで、早々と日南学園から先制するのか? しかし、日南学園の先発・伊地知に後続を三振・内野ゴロに抑えこまれて無得点に終わった。

 1回を抑えた、日南学園は2回裏に相手のエラーで先制点を奪うと、3回裏にワイルドピッチで2点目、5回裏にはフィルダースチョイスから3点目、同二死二、三塁から6番森が結果的にダメ押し打となるセンターへの2点タイムリーで5対0とした。

 そして、この決勝戦で圧巻だったのが、日南学園の投手陣。 1、2回伊地知→3回藤野→4〜6回芦田→7、8回鵜峠→9回和間。自慢の1年生5投手をお披露目するかのような華麗な継投で、被安打3・失点0。見事な完封リレーだった。 極めつけは、2回から9回。全投手が都城東打線を無安打に封じ、自分の役割を完璧に果たした。 準決勝までの登板内容をみても、全員エース格の素材であり、1年生だけでも2〜3チームできる程の選手層の厚さをみせつけた日南学園。今後、真のエース・レギュラーになるのは誰なのか?楽しみである。

 日南学園は、優勝の瞬間、喜びを露にして笑顔をみせる選手が誰一人いなかった。確実に先を見据えて、引き締まった表情のまま球場をあとにした。 現1、2年生チームで、秋季九州大会宮崎県予選を優勝して九州大会出場。1年生大会を優勝した選手たちで構成される日南学園の今後に注目が集まる。

優勝を果たした日南学園

 一方、今日の決勝では、なんとか初回のチャンスで先制して流れを掴みたいところだった都城東。日南学園の強力打線をタイムリー1本に抑えた3投手の粘投は光るものがあった。1年生ながら、予選を含めて多球場で5試合を戦った経験と準優勝の功績は、2年生にもいい刺激になったことだろう。

 この1年生大会では、既にチーム(上級生込)の主力選手として活躍している有力選手もいたが、高校野球の公式戦に初出場した1年生選手が多かった。そんな選手の家族や祖父母らが応援にかけつけて、微笑ましい光景も見ることができたが、緊張やプレッシャーのなかでベストプレーをすることの難しさや、同学年ながら他校の選手の身長・体格・パワーの差に驚愕させられた選手もいただろう。 あと1週間でアウトオブシーズンとなり、対外試合はできなくなる。高校球児となって初めての冬トレが待っている1年生部員たちは、みっちりと心身を鍛え上げて、大きな成長を遂げてほしい。

(写真・文=三角 竜之)