沖縄尚学vs駒大苫小牧 沖縄尚学が先制攻撃を仕掛け、駒大苫小牧との競り合いを制す

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健闘を見せた駒大苫小牧

沖縄尚学が先制攻撃を仕掛け、駒大苫小牧との競り合いを制す

 初めて北海道に優勝旗を持ち帰った駒大苫小牧と初めて沖縄に優勝旗を持ち帰った沖縄尚学との対決。試合の主導権を握ったのは沖縄尚学だった。 1回裏、沖縄尚学は1番赤嶺 謙(2年)がスライダーを打って左中間を破る三塁打。二死三塁となって、4番安里 健(2年)のサードゴロが失策となって1点を先制。5番上原 康汰は四球で歩き、6番伊良部 渉太(2年)のセンター前タイムリー、7番渕上 大蔵(2年)のタイムリーで、3対0とリードを奪った。沖縄尚学の先発は山城 大智(2年)。今日は制球に気を付け、落ち着いて投げている。

 本人のこだわりで、小川 泰弘のような足上げから右オーバーから投げ込む直球は常時130キロ〜135キロを計測し、スライダー、カーブを散らせて、駒大苫小牧打線を打たせて取っていく。まだ比嘉監督によると「指にかかったボールがなく、彼本来のボールではない」とこれでも本調子ではないようだ。ヒールアップする豪快なフォームを投げられる下半身の強さ、股関節の柔軟性は突出。2回裏に失策による1点以外は無失点の投球を続けていく。

 3失点した駒大苫小牧の先発・伊藤 大海(1年)は173センチ67キロとあまり上背はない投手だが、下半身主導のフォームから常時130キロ〜135キロ(最速137キロ)を計測する投手で、スライダー、カーブのキレも良い。完成度の高い投手という印象を受けた。

 なんとか追加点を入れたい沖縄尚学は3回裏に失策の間に1点を追加すると、さらに6回裏、二死二塁から1番赤嶺がスライダーを打って右中間を破る三塁打を放ち、1点を追加する。甘く入ったスライダーだが、それを逃さなかった赤嶺は、「狙い球は各自に絞りますが、それに縛られることなく、来た球を逃さず打ち返しています」と打席内で迷いなく打つことができている。

山城大智(沖縄尚学)

 追い上げたい駒大苫小牧は8回、1番伊藤 優希(2年)がセンター前ヒットで出ると、二盗を決め、ワイルドピッチで三塁へ。2番田丸 郷祐(2年)は四球で一死一、三塁となり、3番若松 大地(2年)はセカンドフライ。だが4番酒井 隆輔(2年)の代打・山谷 拓実(2年)がセカンド後方へふらふらと上がるフライ。これをセカンドが捕球できず、打球は後ろへ転々と転がり、その間に二者が生還した。しかし駒大苫小牧は2点差に迫ったものに、反撃はここまでだった。 9回裏、沖縄尚学は久保 柊人(2年)を投入。久保は最速142キロのストレートと曲がりの大きいカーブを武器に三人でぴしゃりと抑え、準決勝進出を決めた。

 戦い方に余裕が感じられ、初対戦の投手相手にも狙い球を絞りながら打ち崩す打撃といい、堅実な守備といい、140キロ台右腕を2人そろえた投手陣といい、そしてチームプレーに徹し、勝つために逆方向へ打ち分ける徹底ぶりが光った。試合後の囲み取材では、「2008年の選抜を優勝した東浜巨君がいた時と比べてどうですか?」という問いに対し、比嘉監督は、

 「いややっぱり巨(東浜)の時のチームが上だと思いますよ。ですが、巨のときはほとんど先制していたので、今年はビハインドからでも逆転していますので、その粘りは2008年より上回っているのかなと思います」現在のチームの粘り強さを評価していた。次は岩国戦。前回の白鷗大足利戦で逆転勝利している粘りのあるチームだ。接戦を強いられるのは間違いない。今日のようにチームプレーに徹し、勝利をモノにしたい。

 敗れた駒大苫小牧の主将・小笠原貴久は「まだ全国の舞台になると守り切れていないです。冬ではそういうところで力を発揮できるためにメンタルの強さを磨いていきたい」と課題を口にした。だが試合前は気迫ある円陣、声掛けには比嘉監督も見習わなければならないと話すほど。一冬で、技術的にも、精神的にも伸ばして、来年は強い駒大苫小牧を見せてほしい。

(文=河嶋 宗一)