沖縄尚学vs美里工

写真拡大

優勝しグランドを一周する沖縄尚学ナイン

同じ相手に続けて負けられない!沖縄尚学が終盤土壇場の逆転で秋の九州大会ニ連覇を達成!

「 応援団の声援が自分たちの力を十分に発揮させてくれました 」 そう語った沖縄尚学赤嶺 謙主将。それが如実に現れたのが8回の沖縄尚学の攻撃だったのか。それまで個人個人に合わせた応援歌を繰り出していたスタンドが、この回の頭からずっと"あまちゃん"を流し続ける。二人が倒れてツーアウトとなるが、安里 健がライト前へ弾き返し、続く上原 康汰が初球を左中間へ運び一転して二・三塁とチャンスを作り出しすと、代打の金城 太希が体制を崩しながらも三塁線を破る逆転の2点タイムリー!土壇場で試合をひっくり返したのだった。

 第95回全国高校野球選手権大会で延岡学園や花巻東が、この応援歌で勝ち続け話題になった「 あまちゃんのテーマを演奏すると試合が動く」という不思議な伝説は、ここ沖縄の地でも健在だった。

  山城大智から圧巻の四連打!先制したのは美里工業

 沖縄尚学の先発はエース山城 大智。ここまでの3試合全てに登板し、九州の並み居る強豪校を粉砕してきたその右腕に、美里工が襲いかかる。 初回一死から、2番西藏當 祥が左中間へ持って行き二塁を陥れると、宮城 諒大が逆らわずレフト前へ運び一・三塁。このチャンスに前日もタイムリーを放っている4番花城 航がセンター前へ弾き返し先制した。さらに砂川 隆之佑もライト前へ続き、圧巻の四連打に球場は興奮のるつぼ。だがここで山城 大智が踏ん張る。與那 嶺翔をサードゴロに斬ると安里 健がベースを踏んで一塁へ転送。併殺で見事難を逃れた。

 1点を追い掛ける沖縄尚学は4回、ツーアウトながら二つの四球で一・二塁として7番伊良部 渉太が逆転の2点タイムリー三塁打!だが新チームになり、未だ公式戦無敗の王者美里工も黙っていない。 5回、長嶺 飛翔が三遊間を割ると犠打で二塁へ置いて、それまでの二打席連続ヒットの3番宮城 諒大が左中間を突破するタイムリー三塁打で美里工がすかさず同点とした。 追いつ追われつの好ゲームは、九州ナンバーワンを決めるのに相応しい戦いでもあった。

[page_break:最大のピンチに再登板。被害を最小限に食い止めた山城大智]

優勝しグランドを一周する沖縄尚学ナイン

  最大のピンチに再登板。被害を最小限に食い止めた山城大智

 6回、「 球が上ずっていた 」(比嘉監督)という山城 大智をライトに置いて、二番手に新人中央大会で活躍した神里 廣之介がマウンドへ上がる。だが、九州の頂きを決める緊迫した雰囲気に飲まれたのか、先頭打者にヒットを浴びるとストライクが入らず四球を連発してしまう。まさかの無死満塁。絶体絶命に近いこのピンチを跳ね除けられるのは山城 大智しかいない! 沖縄尚学ベンチは再びエースをマウンドへ送り返すと、ここで美里工ベンチも動く。代打に安座間 樹を送ると、安座間はその初球をセンターへ高々と上げる見事な犠牲フライで勝ち越しに成功。なおピンチが続く山城大智だったが、後続を仕留め、最小失点で食い止めることに成功した。

 再び勝ち越しに成功した美里工はその裏、エースナンバーを背負う伊波 友和が登板。6、7回を無難にこなし、8回も二人を抑えてツーアウトとし、打席の安里 健もツーストライクと追い込んだ。だが冒頭で語ったように上原康汰との二人に連続長短打を打たれてしまう。

 

主砲二人が作り出した千載一遇のチャンスに沖縄尚学比嘉公也監督は「 積極性のある 」金城 太希を打席に送る。絶対に打ってやる!そう固く念じ思い切り引っ張った打球は三塁線を破る逆転の二点タイムリー。土壇場で再び勝ち越しに成功した沖縄尚学は、最終回のマウンドに立った山城 大智最後の打者を投ゴロに打ち取り白熱したゲームの幕を閉じた。

 この優勝で沖縄尚学が、秋の九州地区高校野球大会では沖縄県勢初となる連覇を達成し見事頂点へと上りつめた。 敗れた美里工も、最後まで諦めない姿勢を見せてくれ、且つ高い技術と素晴らしい精神力で常に観衆を魅了した。決勝へ進んだことで来春の選抜出場をほぼ確定した両雄。球児たちの聖地である甲子園でも感動の渦を巻き起こす戦いに、今から期待が高まる。

(文:當山 雅通)

美里工   TEAM   沖縄尚学 守備位置 氏名 打順 守備位置 氏名 中堅 神田 大輝 1番 中堅 赤嶺 謙 遊撃 西藏當 祥 2番 右翼 久保 柊人 左翼 宮城 諒大 3番 左翼 西平 大樹 三塁 花城 航 4番 三塁 安里 健 一塁 砂川隆之介 5番 一塁 上原 康汰 捕手 與那嶺 翔 6番 二塁 渕上大蔵 二塁 内間幹也 7番 捕手 伊良部渉太 右翼 松堂 正 8番 投手 山城 大智 投手 長嶺飛翔 9番 遊撃 砂川 修