東海大三vs北陸 15年ぶりの決勝へ、エースが投打で牽引!

写真拡大 (全2枚)

先制打の高井ジュリアン(東海大三)

15年ぶりの決勝へ、エースが投打で牽引!

東海大三はエースの高井 ジュリアン(2年)が投打でチームを牽引。北信越大会では15年ぶりとなる決勝進出を果たした。

今大会の2試合とも、1回に先制している東海大三が、北陸の先発左腕・小林 優大(2年)にどう立ち向かうがが、このゲームの注目ポイントだった。

その1回、東海大三は1番の小林健二(2年)が三振、2番棚田悠太(2年)はショートゴロ、3番原雄士(2年)も三振と、三者凡退に倒れてしまう。今大会でのパターンが初めて崩れた形だ。「1点も取れず、淡泊な形で終わってしまった」と藤井浩二監督は、相手の小林を乗せてしまったと感じた。

ただベンチでは、三者凡退の中でも、攻略へのポイントを見いだそうとしていた。「スライダーが良いぞと話していました。初回はのけ反るバッターや、避けてストライクになるバッターがいた。そのスライダーが見極めよう」とベンチでの会話を小林健二主将は明かす。

その会話が2回、攻略の糸口に繋がった。先頭の4番浦野雅也(2年)がヒットを放ち、相手マウンドの小林からリズムを奪うと、死球や犠打などで二死一、三塁とチャンスを作った。ここで打席に入ったのが8番の高井。「初回三者凡退の焦りはなかった。初戦から良い左ピッチャーと当たってきたので」とポジティブに捉えていた高井が、小林の4球目を打ち返す。打球は左中間を破る二塁打となり、二者が生還。エース自らのバットで、ポイントの先取点を東海大三が取った。

「自分は(バックの守備と打撃に」支えられている立場。今日の試合は自分のバットで2点を取れたのが大きい」と二塁打を振り返った高井。藤井監督も、「高井が打って取った得点は大きかったと思います」とエースのバットでの活躍を讃えた。3回にも1番小林の三塁打から起点を作り、2番棚田のタイムリーと4番浦野の内野ゴロの間に2点を追加。相手先発・小林のスライダーを見極めて、得点を重ねた東海大三。一方の北陸・谷津田伸二監督は4回に投手交代を決断した。

投げては無四球完投のエース高井

投げる方の高井は、中盤に北陸打線の追い上げにあったが、5回終了後のグラウンド整備にこれまでのピッチングを振り返っていた。「前半は少し力んでいた。下半身が使いきれず、腕だけで投げていたので、打者が見えやすかったと思います。それを確認して、一呼吸置いて、落ちつこうと思いました」。

後半は前半とは比べ物にならないほどリズミカルになった。打たせて取る所と、三振を取りにいく所のメリハリがきいたピッチング。四球を与えないことも、高井の長所だ。

6回、7回、8回と3人ずつ打ちとり、9回二死からヒットを打たれたが、冷静に次のバッターを打ちとって試合を締めた。

しかし高井の言葉に、嬉しさ表れない。勝利の瞬間に拳を握りしめたが、校歌を歌った後には、喜びを見せなかった。「自分は絶対的エースを目指しているので、今日のピッチングは点数をつけられるほどではないです」。

マウンドに上がった以上、「誰にも譲りたくない」と強い意志を持つエース・高井 ジュリアン。決勝の相手は日本文理に決まり、「投げるのが楽しみ」と目を輝かせていた。

(文=編集部)