智辯学園vs八日市 智辨学園、投打の軸が活躍
序盤から押していたのは智辨学園だった。 初回、尾田が八日市の攻撃を3人で抑えると大柄な1番・廣岡が痛烈なレフト前ヒットを放つ。その後二死一、二塁とチャンスを広げたが5番・吉田の当たりはサードライナー。八日市のサード・古澤のダイビングキャッチに阻まれた。
先制機を逃した智辨学園だが2回、6番・�皺�から始まる攻撃でフォアボール、送りバント、デッドボール、送りバントで二死二、三塁と再びチャンスを作る。 コントロールに苦しむ八日市の先発・�盒兇和能腓�トップに返った廣岡の5球目にワイルドピッチ。バッテリーミスで試合が動くと廣岡がフォアボールで歩き二死一、三塁。 この場面で2番・大西涼の当たりはショート手前でイレギュラー。ラッキーなタイムリー内野安打となりクリーンヒット0本で2点の先制に成功した。
智辨学園は地元ということもあってか応援団、チア、吹奏楽にも気合が入る。応援団、チアの人数が多いことに加えて吹奏楽の部員も演奏の合間には「かっ飛ばせ〜」と声を張り上げる。旗持ちの団員も「旗、めっちゃ重たいっす。でも半年後は甲子園で持ちたいです！」と目を輝かせる。
大声援を受ける智辨学園は4回、3番・吉岡の2点タイムリーツーベースヒットでリードを広げると、4番・岡本が「変化球来るってわかってたんで狙ってました」とレフトスタンドへツーランホームランを放つ。これが高校通算55号。新チームスタート時は37本だったから3ヶ月で18本と驚異的なハイペースでホームランを量産している。
大きな援護を受けた尾田は5回、初めて先頭バッターの出塁を許す。 点を取った直後、しっかり締めたいところでバッテリーが躍動。三振ゲッツーでわずかに芽生えかけた反撃の芽を摘み取った。 智辨学園・小坂監督が「変化球で丁寧にコーナー突いて、それでまっすぐが生きた」と評した尾田は危なげなく7回を零封。
中盤に得点を重ねた智辨学園は7回コールドで八日市を退けた。
小坂監督は「課題の1つだった先頭が出塁出来たんで」と1〜6回まで全ての回で先頭バッターを出塁させたことを勝因の1つに挙げた。先手先手で試合の主導権を握れていたのは常にランナーを置いての攻撃を展開出来ていたからだろう。
逆に八日市が先頭バッターを出塁させたのは5回と6回、すでに点差が開き大勢が決した後だった。 ただその一方、「バントミスもあったんで。スクイズ含めて質上げていかないとこれから先勝っていけない。1点1点しっかり取っていかないと何があるかわからない」と課題にも言及。
「個人個人の能力はあるけど、チームとしてはまだまとまり切ってない」1週間、間隔で試合が行われるため立て直しが効くのが秋、1試合毎に成長するのが高校生。 近畿ベスト4を賭けて戦う相手は、成長機会という意味では申し分の無い強豪・龍谷大平安。激しい打撃戦が予想されるが、この壁を乗り越えた時もう一段階強くなれるはずだ。
（文=小中翔太）
