『ジョジョの奇妙な名言集』Part1〜3(左)とPart4〜8(右)。荒木飛呂彦/集英社。
2冊合わせて262の「ジョジョ名言」の他、「ジョジョの奇妙な擬音集」「ジョジョの奇妙な家系図」などのコンテンツも充実!

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全国7500万人の『ジョジョの奇妙な冒険』ファンの皆様、お待たせしました。今夜、テレビ朝日系・アメトーークにて「ジョジョの奇妙な芸人・第2部」が堂々のON AIRです。
シリーズ通算106巻まで発刊されたJOJOシリーズ。コミックスの累計発行部数は7500万部を超え、現在『ウルトラジャンプ』で連載中の第8部『ジョジョリオン』も1・2巻ではやくも100万部突破と、連載25周年を迎えてなおその人気は衰え知らずです。

アメトーークで「ジョジョ」が取り上げられるのは今回が2回目(前回は2007年8月2日の回、「アメトーークDVD17」に収録)。そもそもはアメトーーク名物「芸人プレゼン大会」から生まれた企画で、それまで最も視聴者からの得票を獲得した「ガンダム芸人」の44,344票を抑え、プレゼン大会史上最高の得票数77,992票を集めたことからも、世間の注目具合がうかがえます。

前回ON AIRでは「ジョジョ立ち講座」「ジョジョの奇妙な擬音」「ジョジョの奇妙な表面張力」など魅力的なラインナップで展開されたのですが、ジョジョ芸人の思いが強すぎて、ファンである自分からしても正直引くほどディープな回でした。今回出演のジョジョ芸人もケンドーコバヤシ&中川翔子&スピードワゴン小沢&バッファロー吾郎・竹若&野性爆弾・川島ら前回から引き続きのメンバーが多数のため、またしてもジョジョの深淵な世界に潜りこみ、視聴者を置いてきぼりにすることはもう必至。そこで、ON AIRの前の予習として、はたまた見終わった後の復習の書として最適な本を紹介したいと思います。それが今春発売された『ジョジョの奇妙な名言集Part1〜3』『ジョジョの奇妙な名言集Part4〜8』の2冊です。

ページをめくってまず登場する名言が「ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート!! おおおおおっ 刻むぞ血液のビート!」、続いて「貧弱!貧弱ゥ!」という“ジョジョ名言”の代名詞であることからも、この本の充実度・本気度がわかるというもの。それぞれの名言には「発言したキャラクターの名前」「収録巻・タイトル」と、場面を補足・解説するキャプションも併記してあるので、ケンコバが謎のフレーズを発しても、すかさず本書でいつ・誰が発した台詞なのかがチェックできます。また、アメトーークを見てこれからジョジョを読んでみようと思った初心者にとっても、どこから読めばいいかの参考になるでしょう。集英社発刊ということで、その台詞が登場するカットもしっかり収められているから、ページをめくるたびに感動と興奮とビートが蘇ります。

収録された名言は2冊合わせて262。ただ、その名言以上に興味深いのが、それぞれの巻末にある解説です。『Part1〜3』では学習院大学教授・中条省平氏によるジョジョ世界の哲学分析、『Part4〜8』では作者である荒木飛呂彦氏自身が、数々の名言が生まれた背景を解説します。例えば、上記の「貧弱!貧弱ゥ!」を発したときのディオがどういうエモーションであったか、普段セリフ回しを考える上で最も重視していることはリズムである、などファン必見の情報が凝縮。あの有名な誤植名言「何をするだーァッ」についても、荒木先生自身によってその裏話が明らかにされています。
中条省平氏の論評も、ゲーテの戯曲『ファウスト』との対比や、三島由紀夫、ニーチェの言葉を引用して解説されるジョジョのテーマ「人間讃歌」の魅力など、新たなジョジョの読み解き方として参考になり、ジョジョ全巻持ってるよ! というジョジョフリークにも一読をオススメします。

さて、この『ジョジョの奇妙な名言集』以外でも、今年はジョジョ連載25周年ということで様々なコンテンツが生まれ、企画が組まれているので、一気におさらいしておきましょう。

【雑誌】『ダ・ヴィンチ』最新8月号の特集が「JOJO=JAPAN」。「荒木飛呂彦が世界に広げる“波紋”」と題し(うまいこと言ったなー)、歌舞伎役者・尾上菊之助との対談や書道家・武田双雲や美女採集・清川あさみらクリエイターとのセッションは見応え十分、キーワードからチェックする「最初に読むなら第○部」など、初心者向けのコンテンツも充実しています。また、「JOJOと女性観」「JOJOで振り返る現代日本史」などから読み解く時代性も興味深い。今回のアメトーークに出演するケンコバ、スピードワゴン小沢、しょこたんらの選ぶ名言集も収められているので、『ジョジョの奇妙な名言集』と合わせてチェックすれば、もういっぱしのジョジョフリークです。

【原画展「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展」が、7月28日(土)〜8月14日(火)に仙台・せんだいメディアテークで、10月6日(土)〜11月4日(日)に東京・六本木の六本木ヒルズ・森アーツセンターギャラリーで開催されます。また、昨年、雑誌『SPUR』で短編「岸部露伴・グッチへ行く」が掲載された縁から、イタリア・フィレンツェの「GUCCI MUSEO」でも原画展が開催されることが発表されています。余談ですが、『SPUR』の表紙を飾った荒木先生の“イラスト”が、第3回雑誌大賞グランプリを受賞しています。(※原画展についての記者発表はYouTubeで視聴可能。荒木先生も登場します)

【スマートフォン】NTT DoCoMoからは、荒木飛呂彦オリジナル書き下ろしイラストとサインが入った連載25周年限定モデルスマートフィン「L-06D JOJO」が、1万5000台限定で販売されます。第3部に登場するカーレースゲーム「F-MEGA」や特別編集のカラー版「ジョジョの奇妙な冒険」1巻から12巻、ジョジョの名台詞をおりまぜたオリジナル予測変換辞書などが用意されているとのこと。雑誌『ダ・ウィンチ』でも詳しく紹介されています。

【アニメ】10月からテレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」が放送決定! これまでOVAで第3部「スターダストクルセイダース」が、劇場版で第1部「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」がアニメ化されたことはありましたが、テレビアニメ化は今回が初めてです。(上述したYouTubeの51分過ぎからサンプル画像が確認できます)

【ゲーム】PlayStation3専用ソフト「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」が2013年に発売されます。シリーズ歴代の主要キャラが登場し、スタンド、波紋、騎乗、流法など作品に登場した異なるバトルスタイルで対戦できる格闘アクションゲーム! ってすごいな。

【WEB】Google+上には集英社公認の公式ファンページ「ジョジョ+」が、荒木先生の誕生日6月7日に開設。今後は上記のジョジョ展やゲームなどの最新情報が随時配信されるほか、ハッシュタグを利用するなどGoogle+の機能を活用したファン参加型企画も実施予定とのこと。

【映画??】昨年8月に発売された『週刊文春』で、アニメ化と実写化が決定している、と報道されました。その後「サイゾーウーマン」にて、主演は嵐・松本潤という記事が出たくらいで真偽のほどは未だわからず、だったのですが、今回、実際にアニメ化が発表がされてしまったわけで、実写化も今後正式発表されるのか、それとも文春の誤報なのか気になるところです(というか、誤報希望です)

メディアも国境も時代までも股にかけて、ますます広がるジョジョワールド。まずは今夜の「アメトーーク」から改めて楽しみましょう! というわけで、最後はブローノ・ブチャラティの別れの挨拶を借りて締めたいと思います。
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ アリーヴェデルチ!(さよならだ)」
(オグマナオト)