ゾンビゲームは暗くて重い……そんな常識をふっ飛ばして、楽しいゾンビ達をバッサバッサとチェンソーで切り刻むキュートなヒロインの登場だ! 「ロリポップチェーンソー」は、首だけになったボーイフレンドをぶら下げて、ムチムチボディでレッツゾンビハント!

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この前「ゾンビワナビー」という単語がアメリカにあることを聞きました。
なんやそれと思ったら「ゾンビになりたい人達」のことらしいです。
えーっ、ちょっと待ってよいるのそんな人!? と思ったら、以前のこの事件の時に意外と多くいたそうで。
それはなー。ちょっとゾンビにはなりたくないなー。大往生して死んで、お墓に入りたいですよ。
と思っていたんですが、最近発売されたロリポップチェンソー(PS3版)(360版)をやったら、なるほど気持ちはわからんでもないなあと感じてしまったんだなこれが。
もっともゲームですからね。とはいえゾンビ側から見たら妙に楽しそうだという視点と、ぶっ殺す側のゾンビハンターが幸せそうすぎて。なんだか妙に平和だよこの世界。

「ロリポップチェンソー」の世界観は左上にあるパッケージが一番物語っていると思います。
腰に恋人の首(生きてます)を付けて、チェンソーを持って笑顔で切り刻みまくるチアガールヒロイン!
なんだよこれデザインした人出てきなさい! 褒めます。
ゾンビ切ったら血しぶきじゃなくて虹や星が出ます。キラキラします。
体力が減ったらロリポップ(あめちゃん)なめて回復します。
連続技は基本的にチアガールなので、馬跳びとかヒップアタックとかセクシーです。
返り血とか浴びません。どんだけゾンビをチェンソーで刻んでも、キラキラが飛び交うので汚れません。
ワーオキュート&ハッピー! 悲壮感って言葉忘れたんでしょう?!
恋人のニックはゾンビに噛まれたので、ゾンビ化を防ぐために首を切り取ってぶら下げている、という設定なんですが、これも悲しみとか全然ないんですよ。ヒロインがことあるごとに「わぁ!ステキ!ニック愛してる!」と戦いながらのろけやがります。
その割にニックの頭をゾンビに向かって撃ったりします。それってどうなの。

もう脳みそとろけそうです。
悲しみをもってゾンビを刻んで最後の最後まで戦うとか、全くないんですよ。
なんせヒロインも生後六ヶ月でゾンビを殺したゾンビハンターだそうですよ。どうやって?
倒し方も、頭をボコボコ踏んでいってから最後に「お前はもう死んでいる」といって爆破するなど、まるでお遊戯。
特にユニークなのが、、まとめて首切ってぶっとばして、バスケのゴールに連続で入れるミニゲーム。3ポイントシュート!(ゾンビの首の)
悲壮感の「ひ」の字もないです。なにこれ楽しい。
ゾンビものはヘヴィな設定多いからなー、シビアな緊迫感が辛いしなー、と思っている人には最高のエンタテイメントになっています。
あ、一応CERO Z版を買えば、グロテスク解禁モードもありますが、いかんせんヒロインの言動がアッパラパーなので暗さ0です。

声優さんはPS3版が日笠陽子(「けいおん!」の秋山澪役)、360版が喜多村英梨(「魔法少女まどか☆マギカ」の美樹さやか役)で、クリアすれば両方使えるようになりますが、どちらの声優さんもノリノリ。
(余談ですが、「まどか☆マギカ」で「私ゾンビだもん!」って泣き叫ぶ演技をした喜多村英梨がゾンビ切り刻んでるのは感慨深いです。)
アクションシーンでしゃべるのは当然として、それ以外の部分でもとにかくトークパートが多いのなんの。しゃべりっぱなしです。
全体のデザインも、女の子のカラフルなロリポップの包み紙の色みたいな世界観。キラキラしてキュートです。
ゾンビの徘徊する町中で買い物をすると流れる音楽が「ロリポップ」。ポン! ボボンボンボン。
ちょっとした狂気ですよこれ。

それでもまあ、チェンソーもってゾンビ倒すとなると、相手のゾンビ側は辛いでしょう?と普通は感じますよね。
特にクラスメイトがゾンビになって悲しくないのかと。
ところがこれがちょっと面白いんですが、ゾンビたちのセリフにこんなのがあるんですよ。
「ゾンビ生活最高!」
あ、あれ?
確かにこっちに向かってくるゾンビはおぞましい姿だし、ヒロイン達から見たゾンビ化したクラスメイトは悲しいものがありますが、ゾンビになっちゃった側は思ったより悲しんでいない。
むしろゾンビになった状態でこの世界を楽しんでいる節すらあります。人を襲って、ゾンビハンターに昇天させられるところまで含めて。

特にボスキャラ級のゾンビ達が楽しそうでねえ。
それぞれ音楽をテーマにしたゾンビが登場するんです。
パンク、バイキングメタル、サイケ、ファンク、ロカビリー。
音楽にあわせて暴れる様はなんとも幸せそうです。街を破壊し、人をゾンビ化させ、と迷惑千万ではありますが、こういうのは「謳歌する」っていうんじゃないかしら?
なんせ胴体切られたって死なないですからね。
相手がこんなんだから、ヒロインもチェンソー楽しく振りまくれるんでしょうけれども。ファンクのリズムにあわせて踊るゾンビたちは操られてるのか自律意思があるのかわからんですがけどこりゃ幸せだよなあ。

特に首だけになっても生かされているニックという存在がいるだけに、どっちが幸せか分けがわからなくなる作品です。
首だけになってでも這いつくばってでも生きている方がいいのか、ゾンビになって楽しく暮らすほうがいいのか。
まあ、今のところの結論は「ムチムチなおしりとおっぱいがキュートな生きている女の子最高」ということで一つ。
なーんも考えずに楽しめる、逆にハイスコア狙いならシビアな動きが要求される、なんともユニークな爽快しかないゾンビアクションゲームです。
ちなみに本作一番の見所は、見せパンなのに下から覗こうとすると、さりげなくスカートをおさえる仕草がかわいいことです。
(たまごまご)

ロリポップチェンソー(PS3版) (360版)