小学校の授業後の黒板。ドイツ語では、牛は「MU(ムー)」と鳴きます。日本語式の「MO(モー)」には、バツ印がついています。

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ドイツの学校にも、日本の小中高校と同様に通知表が存在します。通知票の成績評価は、教科別に点数で表されており、最高評価は「1」。数が大きくなるのに反比例して評価は下がり、「5」や「6」はできればお目にかかりたくない数字。「5」が最高で「1」が最低の日本とは、単に数の大小が逆になっているだけですので、日本人にもわかりやすいと思いきや、一筋縄ではいかないのがドイツの通知表。

例えば、ドイツの成績の「2」と「3」の間に、「2〜3」とか「2マイナス」とか「2プラス」という中間評価が挿入されることが多いのですが、これが不明確で不可解極まりないクセもの。そもそも、「2プラス」と「2マイナス」、どちらをもらったら嬉しいのか、おかわりになりますか?

まず「2〜3」という成績ですが、これは「2」と「3」のちょうど中間という意味。最初から素直に「2.5」と表記してくれればどんなにわかりやすいことか。続くクセものは「2プラス」と「2マイナス」。イメージ的に、「2プラス」は2より大きい数で、「2マイナス」は2より小さい数ですから、数が小さいほど高成績のドイツでは、「2マイナス」の方が成績が良いような印象を受けますが、これがなぜか逆。

なぜなら、「2プラス」は2.0よりも良い成績(つまり、プラスのイメージ)であり、逆に「2マイナス」は2.0より悪い成績(つまり、マイナスのイメージ)ととらえるので、「2プラス」の方が良い成績ということになります。

さて、ここまで辛抱強くお読み下さった皆さまにおかれましては、すでにかなり脳内が混乱していることとお見舞い申し上げます。最後に、評価数値をすっきりまとめてみたいと思います。

ドイツの通知表(成績が良い順に)
1.0
1マイナス(最高点である1.0になるには、もう一歩足りないイメージ=1.25に相当)
1〜2(=1と2のちょうど中間=1.5に相当)
2プラス(2.0と1〜2の中間評価=1.75)
2.0
2マイナス(2.0と2〜3の中間=2.25)
2〜3(=2.5)
3プラス(3.0と2〜3の中間=2.75)
3.0
3マイナス(3.0と3〜4の中間=3.25)
3〜4(=3.5のこと)
以下続く……。

ちなみに、最低評価は一般的に「6」ですが、「6」という数値は落第を意味しますので、その教科が必須科目である場合は、翌年に再履修せねばなりません。以前のコネタでもお届けしましたように、小学校はおろか、幼稚園から小学校1年生に入学する時点で、すでに留年があり得るシビアなドイツの進学進級制度。たとえ義務教育期間であろうとも、常に留年の可能性がつきまとう中、明日からもまた、「2プラスと2マイナスって、どっちが良い成績なんだっけ?」に頭を悩ます日々が続きます。
(柴山香)