パリは陸軍所属だがマルセイユの消防組織は海軍所属。

写真拡大

フランスでモテる職業といえば消防士。フランス語では消防士を「ポンピエ」といい、勇敢で体格もよく、かっこいいと思われる職業の一つだ。自己紹介で「消防士です」と言えば、フランス人女子にポジティブな反応を受けることは間違いなし! 一体、フランスの消防士とはどのような存在なのか? 事情を聞いてきた。

まずは生い立ち。パリやマルセイユ等、地域によって消防組織の由来は異なるのだが、パリの場合その結成にはナポレオンが大きく関わっている。1810年パリ市内のオーストリア大使館で発生した火災に際して、旧来の消防隊は迅速に鎮火できずに多数の犠牲者を出してしまった。その現場に居合わせ彼らの活動に憤慨したナポレオンは、組織を再編・拡張しフランス陸軍に属する工兵部隊の一つとして新しく生まれ変わらせたのだ。つまり日本の消防士と違い軍隊の一部という位置づけだ。

そんな消防士好き女子(と男子)にとって、夏と冬の年2回、彼らとお近づきになるための見逃せないイベントがやって来る。夏は消防署内でダンスパーティーが開かれるのだ。7月14日の革命記念日の前夜、市中の消防署は開放され、署内で消防士たちは一般市民と踊り飲む。入場チケットは、イベントが迫ると街中で若手消防士たちが道行く女性(時に男性も)に声をかけて売っている。ただしパーティーといっても不測の事態には対処せねばならないので、盛り上がる同僚を横目に一部の消防士は参加できず、通常業務に就かなければならないが……。

また、かっこいい消防士をいつもそばで見ていたいという女子(と男子)にとって要チェックなのが、冬の署員によるカレンダー販売。暮れが迫る頃、消防士たちは街角に立ち、道行く人女性(時に男性も)に声をかけてカレンダーを売っている。もちろん中身は彼らが活躍しているシーンが満載だ。

今から職業は変えられないが消防士の雰囲気を味わいたいという男性(と女性)にとってぴったりなのが、各種売り出されているグッズ。公式サイトではプロ仕様のジャケットやトレーナー、バッグ等が購入できるので、一通りそろえれば気分的になりきることも可能だ。年末に向けてクリスマスプレゼント用のカタログも用意されているほど。

というわけで今年の暮れは、フランス消防士の格好をしつつ、火の用心に気をつけてみるのも面白いかも!?
(加藤亨延)