日本最大のSNSサイトmixi

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SNS(ソーシャルネットワークサービス)が私たちの生活に身近なものになって久しいこん日。
mixiやFacebookなどのSNSサービス、140字でつぶやきを発信するTwitter、動画サービスのYouTubeやニコニコ動画など、多くのWEBサービスが誰でも気軽に利用できて人気だ。
プライベートだけで楽しむ人もいれば、仕事の関係上サービスを利用する人もいる。最近では、会社全体でサービス利用を推進、なんてところもあるらしい。

その各サービス、元々はお互いユーザーの獲得にせめぎ合っていたはずだが、最近はどこもかしこも「連携」し合っている。
例えば一部を挙げると、“TwitterでつぶやいたことがmixiやFacebookにも配信できる”、“YoutTubeの動画についてコメントをしたら、FacebookやTwitterにもいつの間にか流れている”など。
もちろん「連携する」を設定をしたのは自分なのだが、最初に別のサービスに発信したはずのコメントを他のサービスで見たときは一瞬驚いた。
現在は多くのブログサービスでも「連携」を設定することができ、ブログに記事を書いたらTwitterやSNSで更新情報が流れる。

「連携」は今や各サービスを繋ぐ重要なもの。でも、元は各サービス同士、ユーザーをめぐるライバルである。各サービス会社は、ライバルとの「連携」をどのように見ているのだろうか。
日本の元祖SNSサービス、mixiを運営する株式会社ミクシィの広報グループ担当者に、「WEBサービスがどれもこれも連携されるようになった経緯は何でしょうか?」と聞いてみた。
すると、担当者は「複数のSNSや他サービスへの投稿(情報掲載)が共有化されるなど、ユーザーの皆様がコミュニケーションをより便利に楽しめるからでしょうか」と語ってくれた。
「コミュニケーションを便利に楽しむ」……なるほど、確かに「連携」はサービスの利用をより便利にしてくれていると感じる。

各サービスが連携し合うようになって、ユーザーにとってのメリットは二つあると担当者は言う。
「一つは投稿が簡単になること。どれかのSNSで投稿すれば、他のSNSにも反映するので、何度も発信する手間が省けます」
確かに、近況報告や今どこで何をやっているか、こんなおいしいもの食べてるよ、と写真つきのコメントをアップするのに、一度ですべてに発信できるのはとても便利だ。

「二つ目は、各サービスそれぞれの特徴を体感できることです。同じ内容の投稿でも、サービスごとに得られる反応やフィードバックが異なるので、より楽しめるのです。また、友人間におけるコミュニケーションのネタを他のWEBページなどで見つけ共有することで、コミュニケーションを深めあうこともできます」

同じ情報に対する反応は人それぞれ、反応の表示方法は各サービスそれぞれ。一度の発信により、それぞれに繋がっている人たちの反応を楽しむことができるのは楽しい。
そして、“こっちで掴んだネタを別のサービスで発信”……なるほど、情報の共有・拡散ツールとしても、「連携」は活きている。

では、ユーザーにとってのデメリットがあるとしたら何だろう?
担当者いわく、「どのサービスと連携していて、誰に投稿が共有されるのか把握していないと、例えばTwitterだけでつぶやいたと思ったことが、mixiにもFacebookにも投稿していて、思わぬ人に近況を公開してしまった、ということも起こるかもしれません」
そうそう、記者も一番最初に、まさにその衝撃を味わった。大した内容でなくても、思わず焦ってしまう。ここを読まれている人の中にも、「あるある。mixiだけにつぶやいたつもりで、間違ってFacebookで公開しちゃって同僚にナイショにしてた趣味がバレたよ」という人はいるかもしれない。
「連携」はもちろん本人の自由。だからこそ、自分で自分の発言を守るという意味でも、注意深くなくてはいけない。

ユーザーとしてのメリット・デメリットは明確になったが、サービス側としてのメリットをずばり、先ほどの担当者に聞いてみた。
「メリットは、他のサービスでつながるユーザーにもコミュニケーションのきっかけを与えられることです。またその反対に他のSNS上でのネタをきっかけとして、こちらでのコミュニケーションをより楽しめる環境を提供させていただけることです」

ユーザーがコミュニケーションを楽しんでくれる場を設けられることが一番。さらに、別のSNSサービスしか使っていないユーザーが友人の発信する情報を辿ってこちらのSNSサービスも利用し始めるきっかけにもなる。連携によって、相互に会員が増える、というサービス側のメリットもあるのだ。
ユーザーの「連携」はサービス側の「共栄」に繋がっていると言えよう。

担当者はこう語る。「一番大切なことは、ユーザー様ご自身で連携するかしないかを設定できる仕様かどうかということです。ユーザー様がご自身の意志で、どんな時には他のSNSにも連携させるのか、そうじゃないのかを選択いただくことで、より円滑なコミュニケーションが可能になると思っています」

サービスの多様化とともに、私たちユーザーはあちこちにプロフィールを持ち、さまざまな情報を発信する機会が増えた。各サービスは、「プライベートの自分」であったり、「仕事上の自分」であったり、それぞれに役割と責任を担う。何を選び、何を発信するのか。
手軽なSNSや会員制コミュニティサービスを楽しむために「連携」は便利なツールではあるが、「連携するにチェックを入れる」のチェック一つで、「情報をうっかり発信」してしまう可能性もある。
今後は、この「連携」サービスを上手に使い、また管理を徹底するという、ソーシャルサービスを活用するリテラシー(能力や知識)を持つことが、意外と大事な「世渡り上手」のコツとなりうるかもしれない。

ちなみに記者は、ブログとmixiは連携しているが、mixiとFacebookは連携していない。やっぱり、アレとかコレの情報が流れると冷や汗モノだから……。
(河野友見 Kono Yumi)

※ここで言う連携とは、API(プログラミングインターフェイス)を活用した各サービスのプログラム上の繋がり、という意味