リーグ・アン第28節が19日と20日に行われた。2位リヨンと3位レンヌの対戦は1―1の引き分け、4位マルセイユは5位パリ・サンジェルマン(PSG)を2―1でくだした。この結果、ブレストを2―1で破った首位リールが頭ひとつ抜け出て、マルセイユが2位に浮上し4ポイント差で追撃、PSGが優勝争いから脱落する形となった。

 リールの決勝ゴールをあげたのは、エースのムサ・ソウ。10試合を残して、昨季の得点王ママドゥ・ニアン(当時マルセイユ、現フェネルバフチェ)があげた18ゴールを抜いた。1試合あたりのゴール数は0.68で、このままのペースでいけば、2002-03年のシャバニ・ノンダ(当時モナコ、現在所属クラブなし)、2003-04年のジブリル・シセ(当時オセール、現パナシナイコス)の26ゴールに並ぶ。27ゴールとなれば、バロンドールを受賞したジャン=ピエール・パパン(当時マルセイユ)以来19年ぶりの快挙となる。

 そんなソウの活躍を半ばうらめしく思っていると考えられる人物は少なくとも2人いる。ひとりは昨季レンヌでソウを積極的に起用せず、シーズン終了後に手放したフレデリック・アントネッティ監督(元ガンバ大阪)だ。抜群の守備力を誇る一方で得点不足に悩むレンヌだけに、ソウの放出は何とも悔やまれる。

 もうひとりはフランス代表のローラン・ブラン監督。ソウは両親の母国であるセネガルの代表に属しているが、実は生まれも育ちもフランス。U-19ではフランス代表でプレーし、ユーゴ・ロリス(現リヨン)やアブー・ディアビ(現アーセナル)、ヨアン・グルキュフ(現リヨン)らとともに2005年の欧州選手権を制したときのメンバーだった。

 ソウは二重国籍に関するFIFA のルールが改正されたこともあって、2009年にセネガル代表入りを選んだ。ソウは今シーズン同国代表で4試合に出場し3ゴールを叩き出している。アンリやアネルカが抜け、頼れるFWが現時点でベンゼマだけというフランスにとっては惜しい存在だ。