〜続々・雑誌「BIG ISSUE」の売り子にもらったもの〜

 「ビッグイシュー(BIG ISSUE)」は、ホームレスの自立支援という目的のために作られている雑誌だ。1冊300円を売って、ホームレスは160円の収益を得る。簡易宿泊所の代金などを得て路上生活からの脱出を図るのだ。
( http://www.bigissue.jp/about/index.html )

 ある「BIG ISSUE」の売り子と顔見知りになったのは、昨年の11月のこと。彼とのちょっとしたふれあい、心の交流のようなものをつづって今回が3回目になる。連載化しようと意図したのではない。彼の態度や言葉から、いつも何か忘れかけている、忘れている大切なものをもらったような気がして、それを書きとめているつもりなのだ。

 <バックナンバー>
 ・「雑誌「BIG ISSUE」の売り子にもらったもの」
 ・人の好意にどう応えるか?〜続・雑誌「BIG ISSUE」の売り子にもらったもの〜

 月2回発行される「BIG ISSUE」。1月の2号目の発売日からだいぶたったある日の夕方、いつもの駅前で雑誌を左手で高く掲げ、販売のアピールをした彼の姿を見つけた。
 久しぶりだった。発売日には欠かさず駅前に立つ彼の姿がここしばらく見えなかったのだ。

 私が彼を見つける以前に、彼はこちらに気がついていたようだ。遠くでニコッと笑顔をみせている。
 近づいてみると、もともと小柄な彼の姿が一回り小さくなったように感じた。
 雑誌代を手渡す前に、珍しく彼から話しかけてきた。
 「いや〜、ついに風邪で寝込んじゃいましたよ・・・」
 インフルエンザではなかったというが、一時は体温が39度近くになり、都合10日間は寝込んだという。

 「ちょうど新刊が出る前後だったんで、何とかしようと思ったんですが、無理をすると死んでしまうんで・・・」

 日常的に「死ぬ」という言葉は比ゆ的によく使う。「仕事が多すぎて、もう死にそう」とか。

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