良い値下げ・仕方ない値下げ・悪い値下げ/金森 努
景気に明るさが見えてきたとはいわれるものの、デフレ環境に代わりはなく、むしろその圧力は増している。その中で、サービス業の値下げや利用料金低下が顕著になっている。
1月21日付・日経新聞夕刊に「個人向けサービス 顧客獲得へ低価格競う」という囲み記事が1面に掲載された。低価格競争の例として「カーシェア 基本料金3割下げ」「宅配レンタル 新作DVDも割引対象」とサブタイトルにある。他の例も掲載されている。フィットネスクラブ最大手のコナミスポーツ&ライフが1月末まで初期登録料を無料化した。森ビルが運営する自習室「アカデミーヒルズライブラリー」の料金が月額3万1500円1本だったものに、平日限定2万1000円、休日限定1万5750円と細分化した。美容室大手では、顧客1人が1回の利用で支払う料金の客単価が下落を続けているという。
記事の主旨としては、顧客数を確保するために各企業が値下げに踏み切らざるを得なくなっていることを指摘しているわけだが、その内容をよく見れば各々の狙いと背景は異なる。
売上=客数×客単価であるため、デフレ環境下で市場全体の価格が低下する中、競合に顧客が流れないようにするためには客単価を積極的に下げ、顧客数を増して売上げを確保しようという動きが顕著になる。「利益なき繁忙」に陥る可能性は否めなく、各社とも避けたいところではあるだろうが、致し方なしだろう。「仕方ない値下げ」の典型だ。日経新聞の例ではDVDレンタルの低価格競争がそれにあたる。
しかし、DVDは通常、新作は誰もが見たがり貸出の稼働率も高いため、本来は値下げする必要はない。それにも関わらず、競合同士が首を絞め合うように値下げ合戦をするのは、新作+旧作のクロスセリングと、1顧客あたりの貸出回数を増すことで、全体としての稼働率を向上させて収益アップを高めようという狙いがあるからだ。
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1月21日付・日経新聞夕刊に「個人向けサービス 顧客獲得へ低価格競う」という囲み記事が1面に掲載された。低価格競争の例として「カーシェア 基本料金3割下げ」「宅配レンタル 新作DVDも割引対象」とサブタイトルにある。他の例も掲載されている。フィットネスクラブ最大手のコナミスポーツ&ライフが1月末まで初期登録料を無料化した。森ビルが運営する自習室「アカデミーヒルズライブラリー」の料金が月額3万1500円1本だったものに、平日限定2万1000円、休日限定1万5750円と細分化した。美容室大手では、顧客1人が1回の利用で支払う料金の客単価が下落を続けているという。
売上=客数×客単価であるため、デフレ環境下で市場全体の価格が低下する中、競合に顧客が流れないようにするためには客単価を積極的に下げ、顧客数を増して売上げを確保しようという動きが顕著になる。「利益なき繁忙」に陥る可能性は否めなく、各社とも避けたいところではあるだろうが、致し方なしだろう。「仕方ない値下げ」の典型だ。日経新聞の例ではDVDレンタルの低価格競争がそれにあたる。
しかし、DVDは通常、新作は誰もが見たがり貸出の稼働率も高いため、本来は値下げする必要はない。それにも関わらず、競合同士が首を絞め合うように値下げ合戦をするのは、新作+旧作のクロスセリングと、1顧客あたりの貸出回数を増すことで、全体としての稼働率を向上させて収益アップを高めようという狙いがあるからだ。
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