Appleが約6000億円の損害賠償を求める集団訴訟に直面、「iCloudの独占」が理由
イギリスの消費者権利団体であるWhich?が、クラウドストレージサービス・iCloudのユーザー約4000万人を代表し、同国の競争法に基づきAppleを訴えました。この集団訴訟において、Which?はAppleに対して30億ポンド(約5950億円)の損害賠償金を求めています。
Which? v Apple: iCloud storage consumer case
https://www.cloudclaim.co.uk/
Apple faces UK 'iCloud monopoly' compensation claim worth $3.8 billion | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/11/13/apple-faces-uk-icloud-monopoly-compensation-claim-worth-3-8-billion/
Which?は「2015年以来、イギリスのAppleデバイスユーザー数百万人はiCloudに過剰な料金を支払ってきた可能性がある」として、Appleを訴えています。Which?はAppleがイギリスの競争法に違反したと主張しており、勝訴した場合、Appleデバイスユーザー1人当たり約70ポンド(約1万4000円)の損害賠償金を得られると見積もりました。
Which?によると、AppleはiPhoneおよびiPadユーザーにクラウドストレージプロバイダーの選択肢を与えず、支配的な地位を乱用したと主張しています。Appleはユーザーを自社のクラウドサービスであるiCloudに誘導することで、Appleユーザーは競合サービスと比較して過度に高額なiCloudを利用せざるを得ない状況に陥ったとWhich?は指摘しました。
具体的には、Appleは自社デバイスユーザーに対して写真の保存やその他のデータ保存のためにiCloudに登録するよう誘導しており、一方で、競合クラウドサービスに対してはデータの保存やデバイスのバックアップ作成を許可しないなどして、ユーザーがサードパーティークラウドサービスを利用することを困難にしてきたとWhich?は主張しています。
Which?はイギリスの競争上訴裁判所で訴訟を提起しており、「iOSは独占状態にあるため、AppleはOSを管理し、その優位性を利用してクラウドストレージ市場などで不当な優先性を発揮しないようにする義務があります。しかし、iCloudではまさにそれが起こりました」と主張しています。
また、Which?は競争の欠如によりAppleがイギリスの消費者に対してiCloudの利用料金を過剰に請求しているとも主張しており、「Appleは2023年にイギリスの消費者向けiCloudの利用料金を全体で20〜29%値上げしました」と指摘しました。
2015年10月以降にiOSデバイスおよびiCloudを利用したイギリス在住のすべてのユーザーが補償を受けることができるとWhich?は主張しています。
なお、Appleは2024年3月にアメリカでiCloudの無料で利用できるストレージ容量が5GBなのは少なすぎるとして、集団訴訟に直面しています。
AppleがiCloudの「無料で5GB」の容量が少なすぎると集団訴訟を提起される - GIGAZINE
イギリスでの集団訴訟を受け、Appleの広報担当者であるトム・パーカー氏は「Appleはお客様に選択肢を提供することを信条としています。当社のユーザーはiCloudであれ他のサービスであれ、データ転送を可能な限り簡単にするために努力しています。当社のiCloudにおける慣行が反競争的であるといういかなる示唆も否定し、法的請求に対して断固として抗弁します」と主張しました。
また、AppleはiCloudの利用料金は競合サービスと同程度であると主張しており、さらに、Appleはユーザーに代替クラウドサービスを提供していると主張しており、実際にユーザーの約半数が追加のストレージを必要としていないか、有料サービスの利用を嫌ってiCloudを利用していないと指摘しました。