【ZOTAC GAMING ZONE】
11月15日予約受付開始
12月6日発売予定
価格:135,300円

 ZOTACは11月15日、同社初のポータブルゲーミングPC「ZOTAC GAMING ZONE」の日本での販売を発表した。本日より公式サイトにて予約受付を開始し、発売日は12月6日を予定。価格は13万5,300円。予約特典として、ドッキングステーションとキャリングケース、Tシャツなどが付属する。

 ディスプレイは7.0型、フルHD解像度のAMOLED(有機EL)を採用し、CPUにはAMDのSoC「Ryzen 7 8840U」を搭載。内蔵GPUはCU数12のRadeon 780M。メモリ容量は16GB、ストレージには容量512GBのM.2 NVMe 2280 SSDを備える。本体サイズは285×115×35mm(幅×高さ×奥行き)、重量は公称692g。

 2022年発売の「Steam Deck」以降、各社が製品を発売して盛り上がりを見せてきたポータブルゲーミングPC市場。CPUなども年々強化されていき、2023年6月にASUSが発売した「ROG Ally」はAMD社と共同開発したCPU「Ryzen Z1」搭載や10万円前後の価格設定などが話題となったが、それ以降はやや落ち着きを見せつつあるように感じていた。

 そんなタイミングで2024年末に登場する事となった「ZOTAC GAMING ZONE」はどのくらいのパフォーマンスと使い勝手なのか。今回はざっくりとレビューして、その実力をチェックしていきたい。

【ZOTAC GAMING ZONE】

ZOTAC GAMING ZONE

本体を保護するカバーには、電源を投入するまでの手順が図解で印刷されていた

背面にはLEDライトが仕込まれており、起動すると光る

公称692gだったが、実測では713gとなっていた

まずはハードウェアをチェック。タッチパッド装備やスティック根元のダイヤルなどユニークな仕掛けが豊富

 ZOTAC GAMING ZONEの化粧箱は高級感のあるブラックの外装。斜めにラインが入っているが、スライド式ではなく、シンプルなマグネットによる開閉式の仕掛けとなっている。付属品は本体の他、マニュアルと最大65W出力まで対応するUSB Type-C電源アダプタ、USB Type-Cケーブルが付属する。

 なお、付属以外のACアダプタを使用する際に低出力のUSBアダプタを使用すると、正しく充電されない場合があるので注意が必要だ。実際に筆者は30W出力のUSBアダプタを試したところ(と言うよりうっかり接続してしまった)、充電がされずに電源が落ちてしまった。付属のUSB電源アダプターを使うのがいいだろう。

本体を収納する化粧箱はシンプルながらもカッコいいデザインにまとまっている

斜めに入ったラインから箱全体がスライドして開くわけではなく、蓋になっていて開閉する仕組み

本体以外の付属品はPD65W出力のUSBアダプタとケーブル、マニュアルのみとシンプル

USBアダプタはプラグ部が折り畳める仕組みとなっている

 本体のレイアウトはフロント中央に7型/有機ELのタッチディスプレイを採用。1,920×1,080ドットのフルHD解像度で、リフレッシュレートは120Hz、HDRにも対応する。有機ELらしく色味が鮮やかで、ゲームなどビビッドなカラーが映える印象だ。

 実際に液晶ディスプレイを搭載するASUSのポータブルゲーミングPC「ROG Ally」と同じ写真を表示してその色味を比較してみたところ、ZOTAC GAMING ZONEの有機ELディスプレイの方が、赤色や黄色がよりビビッドに表示されており、有機ELらしさが感じられた。

ディスプレイは7.0型の有機ELディスプレイを採用

発色の違いをチェックするため、ASUS「ROG Ally」と同じ写真を表示してみたところ。赤や黄色などの原色がZOTAC GAMING ZONEの方がより鮮やかに表示されている

表示に使用したのはHAFの快傑ズバットフィギュアの写真

 ディスプレイの左サイド上部に十字キーと「View」ボタン、少し下がって左アナログスティック、その下にはタッチパッドを備え、さらに下には同社ランチャーアプリ「One Launcher」のメニューを開ける「ZONE」ボタン。右サイドは上部にA/B/X/Yボタンと「Option」ボタン、720p解像度のフロントWebカメラを備え、下部には右アナログスティック、その下にはタッチパッド、最下部にはメニューなどで追加項目などを表示する「MORE」ボタンと「One Launcher」が起動できる「ホーム」ボタンを備える。

 底面部には両サイドにスピーカーが配置されているほか、USB 4.0ポート、microSDカードスロットも備える。 ユニークなアイディアとしては、右側面下部にストラップホールを備える点だ。予約特典のキャリングケース付属のストラップを装着し、持ち歩いて操作する際にはこのストラップを右手首に掛けておくことで、もしもの時の落下が防止できる。

本体正面左サイドには、十字キーと「View」ボタン、アナログスティック、タッチパッド、「ZONEボタン」を備える

右サイドはA/B/X/Yボタンと「Option」ボタン、Webカメラとアナログスティック、タッチパッドとメニューボタン、ホームボタンを備える

底面部には両サイドにスピーカーを備えるほか、USB 4.0ポートとmicroSDカードスロットを装備。右側面にはストラップホールも備える

底面に備えるmicroSDカードスロットを使う事で、本体の容量不足を補える

右側面下部にはストラップホールを用意

ストラップを装着して使用する事で本体の落下が予防できる

 天面部にはLB/RBボタンとLT/RTトリガーを備え、これらトリガーは背面のトグルスイッチの切り替えでボタンとしても利用が可能。他には指紋認証センサー内蔵の電源ボタン、3段階のバッテリーインジケーター、ボリュームボタン、USB 4.0ポート、3.5㎜ステレオイヤフォンジャックと排気口を備える。

 背面には追加操作を割り当て可能な「Macro 1/2」ボタンを両サイドのグリップの奥に備えており、さらにはキックスタンドも備える。また、冷却用の吸気口の上部には光り方をカスタム可能な「RGB Lightning Bar」が配されており、好みに応じて光のパターンを変更して楽しむことができる。

本体天面部には両端にLB/RBボタンとLT/RTトリガーを備えるほか、指紋認証センサー内蔵の電源ボタンや3段階のバッテリーインジケーター、ボリュームボタン、USB 4.0ポート、3.5㎜ステレオイヤフォンジャック、排気口を備える

背面にはLT/RTトリガーをボタンに切り替えるスイッチやマクロなどが割り当て可能な「Macro 1/2」ボタンを両サイドのグリップ部の奥に備えるほか、中央にはLED、大きめの吸気口、キックスタンドも備える

キックスタンドを使用すると自立可能だが、角度はかなり上向きとなる。途中で止めることはできないので、使うか使わないかの2択だ

横から見るとこのくらいの角度になる。なお、握り込むグリップはデコボコのテクスチャーが施されており、滑りにくくなっている

 こうして全体のレイアウトを眺めていると、フロントの構成はスピーカーを除くと「STEAM Deck」と非常によく似たレイアウトを採用しているのが分かる。一方でユニークな機能としては、アナログスティックの根元の部分がダイヤルになっていて、デフォルトではここを回転させることで簡単にディスプレイの明るさや背面LEDの明るさが調整可能だ。これらは「One Launcher」上でカスタマイズすることもできる。

 なお、カスタムする場合は、「One Launcher」の設定から「ゲームパッド」のカスタマイズを選択し、デフォルトではなく新たなプロファイルを作成する必要があり、デフォルトの項目を編集することはできない。また、現段階でダイヤルに設定可能な項目は「システムボリューム」と「ディスプレイの明るさ」、「RGBライトの明るさ」の3種類のみとなっている。

 また、タッチパッドは右側がマウスとしての動作で、表面上をなぞる事でマウスカーソルが動作し、タッチパッド自体をクリックする事で、右クリック/左クリック操作を行ない、左タッチパッドはスクロール機能が割り当てられている。クリック操作については、右クリックと左クリックの位置がかなり近い位置に割り当てられているようで、誤操作しやすく、やや癖があるように感じた。

 操作感についてだが、十字キーの感触は上下左右それぞれにスイッチを割り当てるタイプで、押下時に小気味のよいクリック音が鳴り、感覚的に操作しやすい印象だ。

 両サイドに左右対称で配されたアナログスティックやトリガーについてはホールエフェクト方式を採用。ホールエフェクトとは電流が流れる磁体に磁場を加えるとその電流の電圧を正確に測定できる現象を指すが、この特性をコントローラーに応用する事で、アナログスティックやトリガー位置を正確に検知できるという。またこの方式では部品の摩耗などで誤動作が発生するドリフト現象も発生しにくくなっているとしている。実際の操作感も特に違和感や癖はなく、軽快に操作が行なえた。また、手に持った際に握る形となるグリップ部は、軽いデコボコ形状のテクスチャーグリップのため、滑りにくくなっている。そのほか、6軸ジャイロセンサーやHaptic振動機能などを内蔵する。

「STEAM Deck」と並べてみたところ(上がZOTAC GAMING ZONE、下がSTEAM Deck)。同じディスプレイサイズながら、両端のコントローラー部がZOTAC GAMING ZONEの方が小ぶりなため、全体的に小さく見える

高さの比較。右がSTEAM Deckで左がZOTAC GAMING ZONE、高さはほとんど変わらない

折角だからASUS「ROG Ally」とも比べてみた(上がZOTAC GAMING ZONEで下がASUS ROG Ally)。ディスプレイ部含めて全体的にROG Allyの方が僅かにコンパクト

高さの比較。左がASUS ROG Allyで右がZOTAC GAMING ZONE。高さについてもROG Allyの方がやや低めとなっている

アナログスティックの根元の部分がダイヤルになっており、回転することで明るさやボリュームが調節できる。なかなかユニークなアイディアだが、一方でちょっと位置的に狭い事もあり、実際に回す操作はやや窮屈だった

Windows 11上で動作する専用ランチャー「One Launcher」が便利

 続いてソフトウェアを見ていこう。ZOTAC GAMING ZONEにはOSとしてWindows 11 Homeがインストールされている。そしてZOTAC GAMING ZONEの性能を余すところなく使い込むために必要となるのが、前述のダイヤルの説明でも触れたランチャーアプリ「One Launcher」だ。

 購入時に標準でインストールされているこのアプリを使う事で、インストールしたゲームをコントローラー操作で手軽に選んでプレイしたり、本体背面に備えるLEDの光り方や「Macro 1/2」ボタンの機能割り当て、Bluetooth接続の管理や無線LANのネットワーク接続管理、ディスプレイのリフレッシュレートや明るさの設定、オーディオ設定、GPU設定などが行なえる。

 本稿のゲームプレイ時の感触などについては、このGPU設定をゲームプレイに最適化する形で設定してからゲームをプレイした。デフォルト設定でのゲームプレイはバッテリー駆動時などはいいのだが、ガッツリゲームを遊ぼうと思うとやや厳しいためだ。

 具体的には「Thermal Power Limited(TDP)」を最大の「30W」に、「CPUブーストモード」は「efficient aggressive」、「パワーモード」は「パフォーマンス」、VRAM容量の設定は「+4GB」を選択、ファン設定は手動で100%にした上でゲームプレイに挑むことにした。なお、Windows 11設定の[システム]-[電源とバッテリー]の「電源モード」が「最適なパフォーマンス」になっている事も忘れずチェックしておきたい。

インストールしたゲームは「One Launcher」にも登録される。ランチャー上はコントローラーの十字ボタンやアナログスティックで操作でき、こちらからもゲーム起動が可能だ

メニューのパフォーマンスからTDPなどの設定が可能だ。パフォーマンスを高めたい場合はTDPを最大の30Wにし、CPUブーストモードを「efficient aggressive」にして、パワーモードも「パフォーマンス」に、VRAM容量も最大の+4GBにすることで最大8GBまで上げられる。エネルギーパフォーマンスの優先順位は任意で

ファン設定はデフォルトは「オート」だがマニュアルにすることで常時100%固定で回転させることなどが可能だ

前述のダイヤルの設定や本体背面の「Macro 1/2」ボタンの割り当てなどはメニューのコントローラを選び、ゲームパッドを選択して新たなプロファイルを作成する

ゲームプレイもチェック! 「黒神話:悟空」や「スト6」ワールドツアーも動作

 ポータブルゲーミングPCということで、用途としてはいつでもどこでも手軽にゲームが楽しめる点が製品としての最大の特徴と言える。ではどの程度のゲームが動作するかについて、見ていく事にしよう。

 今回は筆者が最近遊んでいるタイトルの中から何本かを厳選してプレイしてみた。先ずは3DグラフィックスがリッチなAAAタイトルとして「パルワールド」と「黒神話:悟空」、「ストリートファイター6」のワールドツアーモード、発売したばかりの「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」の体験版などを試してみた。

 「パルワールド」は画質設定を下げることで、フィールドの移動や敵とのバトルもフレームレート50前後で安定して遊ぶことができた。経験値稼ぎやボスバトルの周回などが手軽に外出先でも遊べるのは気持ちいい。なお、フレームレートが安定しない場合は、画質設定の描画距離を短くしたり、エフェクトやテクスチャの品質を下げてみるのがいいだろう。

久しぶりに起動した「パルワールド」。高画質設定にしたらやや動きが重かった

各種画質設定を下げてみることにした

かなり快適に動作するようになったが、描画距離を下げたことで歩いていると突然建築物などが湧くようになった点はどんまいだ

 「黒神話:悟空」は本日チェックした中では最新のAAAタイトルだ。こちらも画質の設定を「推奨画質を適用」することで、安定してプレイする事ができた点は驚きだ。動きが重いと感じる場合は、サンプリング解像度の設定を最低の33まで手動で調整してみるといいだろう。実際に筆者が試した際にはこの設定でベンチマークの平均フレームレートを37fps前後にできた。これにより、フィールドの移動や経験値稼ぎ、素材の回収、装備や武芸のカスタマイズの考察などが、外出先でも楽しめるようになるので、プレイ途中のストーリーがさらに捗りそうだ。

 画質設定の値が下げられてはいるが、ZOTAC GAMING ZONEでプレイしていると、画質の粗さなどは実はあまり気にならなかった。というのも搭載するディスプレイが7型とかなり小型サイズのため、きめ細かな粗さが逆に気にならなくなっているのだ。なお、データの読み込みやレンダリングが多く発生するタイトルのため、遊んでいると突然カクツキが発生するような場面に遭遇する事もあったので、その点には注意が必要だ。

以前レビューで紹介した「黒神話:悟空」も試した。画質設定を下げてベンチマークを実行した結果、平均フレームレートは37fpsを確保できた

敵とのバトルも問題なく楽しめたが、突然のカクツキが発生する場合もあったので注意が必要だ

 「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」体験版は、画質設定はデフォルトの「画質自動調整」を有効に、フレームレート60fpsでプレイを開始したが、フィールド内の移動から戦闘まで、特に何の遜色もなく快適にプレイできた。

 筆者はSFC時代のロマサガ2のファンではあるが、大幅に変化したリメイクということもあり、現段階で本作の購入には至っていないが、こうして遊んでみると、BGMも当時の物が流れていて心地よいし、ゲームシステムも分かりやすく、ちょっと購入したい気持ちが沸き起こってきてしまった。

話題の新作「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は未購入のため、体験版を試した。洞窟内をダッシュしても全然もたつきはなく、かなり快適に遊べた

画質設定をチェックしてみたところ、「画質自動調整」がかなりいい仕事をしてくれていたようだ

 続いては「ストリートファイター6」のワールドツアーだ。通常のランクマッチやカスタムマッチなど、格闘ゲームの対戦モードの部分はかなり軽く、上限60fpsということもあって、こうしたポータブルゲーミングPCであっても問題なく動作する。さらに安定して対戦モードを楽しみたい場合には、予約特典のドッキングステーションに備える、有線LANを接続して行なうのがベストだ。

 一方でワールドツアーはミニオープンワールドのような仕組みのため、グラフィックス性能が高いほど快適にプレイできるが、ZOTAC GAMING ZONEでも設定項目の「GRAPHICS」にある「グラフィック基本設定」及び「クオリティ詳細設定」を調整する事で、フレームレートは大体50~60前後を維持でき、フィールドの移動がかなりヌルサク動画で快適に楽しめる。これなら外出先などでのレベリング作業やミニゲームのほか、ストーリーを進めるなどもスムーズに行なえそうだ。

「ストリートファイター6」のワールドツアーにもチャレンジ!背景の建物のビジュアルがかなりすごいことになっているが、その代わり動きはかなりキビキビだ

グラフィックス関連の設定は全て最低まで下げてみたのがかなり効果的だったようだ

 続いては動作が軽量なローグライクなどを試してみた。ローグライクの中からは「SHOGUN Showdown(将軍 対決)」や最近発売されて話題の「KARATE Showdown(最強の武術家)」の2本をチョイスして、実際に小一時間ほど遊んでみたが、どちらもZOTAC GAMING ZONE上で何の問題もなく、快適に動作した。特に「KARATE Showdown(最強の武術家)」はヴァンサバライクのアクションなので、その負荷の高さを危惧したが、シンプルなグラフィックスだった事もあり、序盤についてしか試せていないが、かなり快適にプレイできたのはありがたい。

最近楽しんでいるローグライク「SHOGUN Showdown(将軍 対決)」は当然のようにヌルサク動作

10月31日に発売したばかりの新作ヴァンサバライク「KARATE Showdown(最強の武術家)」も試した。アクション要素が強いのでもたつきが発生するかと危惧したが快適に遊べた。ゲームとしての面白さはまだ不明だが……

 そしてもう1本、発売から1年以上が経過して、今なお人気のハクスラ「ディアブロIV」も試してみたくなり、序盤の部分をざっくりと遊んでみた。最初のうちはデフォルト設定のままでプレイしたが、「クオリティプリセット」は「低」で「クオリティモード」は「バランス」ながらも、フレームレートについては常時60fps前後を保持しており、かなり快適に遊ぶことができた。ここまで快適に動くとは思っていなかったので、うちのネクロマンサーも大満足だ。

 なお、グラフィックスについては「低」設定となっていたが、元々がかなり引きでの見下ろし視点がデフォルトであり、回転させての視点変更などもないということもあり、遊ぶ分には全く気にならない品質に見えた。ゲームプレイ中は視点を拡大することも可能で、この拡大時には多少気になる場面もあるかもしれないので、もしグラフィック設定を調整したい場合は、「クオリティモード」を調整したり、デフォルトでは使用していなかった「解像度スケーリング」の設定にある「AMD FSR 2」を選択するなど、バランスのよい設定を調整してみるのがいいだろう。

各所で話題のハクスラ「ディアブロIV」に初挑戦 with ZOTAC GAMING ZONE!ゲーム動作もさることながら、システム的にも爽快感満載で気持ちいい!

デフォルト設定では「クオリティプリセット」が「低」になっているのみだったが、かなり快適でビジュアルも存分に楽しめた。グラフィックにこだわりたいなら、デフォルトではオフだった「解像度スケーリング」を「AMD FSR 2」にしたり、クオリティモードを調整すればさらに高ビジュアルになるかもしれない

とはいえ、最大まで拡大してもこの画像くらいまでしか拡大できないし、デフォルトの引き状態じゃないと画面全体が把握できず、ゲームプレイが困難になるのでビジュアルはあまり気にしすぎなくてもよさそうだ

 以上、ざっくりといくつかのゲームタイトルを遊んでみた。いずれも最高の画質でプレイできたわけではないが、かなり多くのタイトルが快適にプレイできる事が分かった。一方で今回は試していないが、ZOTAC GAMING ZONEにはキーボードが付属していないため、キーボード/マウス操作が必須のRTSなどのゲームを単独でプレイするのは厳しそうだ。

 今回は最大限パフォーマンスを発揮する設定で遊んだため、バッテリー駆動時間はあまり持たず、測定してみたところ、約1時間37分前後だった。パフォーマンス設定をデフォルトにした状態で同じように測定してみた結果は2時間16分前後だったので、約30分ほどゲームプレイ時間が短縮されてしまう形だ。

 なお、冷却性能については、内蔵する3本のヒートパイプによる放熱効果と、最大4,000回転の高速ファンにより、最大パフォーマンスで1時間くらい連続駆動させた状態の温度を測定してみたところ、排気口付近が最も高く、60℃前後となっていた。本体の熱は殆ど感じられなかったため、放熱効果がかなり高いことが伺える。

 ただし、最大4,000回転の排気ファンはフルパワーで回すとかなり大きな音となる。耳にはあまり残らないタイプの音のため、電車内など環境音にかき消される場所なら気にならないかもしれないが、静かな環境ではちょっと気になる程度の音は発生しているので、利用場所については意識する必要があるだろう。

1時間以上フルパワーで稼働した状態のZOTAC GAMING ZONEの温度を測定してみたところ、排気口周辺部が最大60℃くらいまで上がっていたが、本体には全く影響なしだった

屋外でも快適ゲーミング! タッチパッドの誤作動に注意

 ここまでのゲームプレイは全て屋内で実施したが、屋外での利用はどうかと思い、外出の際に小ぶりのバッグに入れてZOTAC GAMING ZONEを持ち出してみた。このバッグは筆者が常用する、ちょっと大きめのウェストポーチでもあり、小ぶりのメッセンジャーバッグくらいのサイズのバッグだが、ちょうどスッポリ入ってくれたので助かった。

 早速屋外でのゲームプレイを試してみたが、視認性は悪くなく、なかなか快適にプレイが行なえた。とはいえ、バッグの中にダイレクトに本体を突っ込むのはやはり本体への負荷、特に出っ張ったアナログスティックへの負荷を考えると、あまりおススメできない。一方で予約特典のキャリングケースを使おうと思うと、ケース自体がかなり大きいため、ちょっとした外出には向かない。個人的にはこのスティック部を中心に保護するような最小限のカバーみたいな物があればありがたいと感じた。

 視認性について有機ELの優位性があるかどうか、実際に筆者所有のASUS製ポータブルゲーミングPC「ROG Ally」も一緒に外に出して比較してみたが、どちらも高輝度設定にしていたからか、ぱっと見ではどちらも屋外での視認性はバッチリで快適に映像が確認できた。

手持ちの小さめのバッグにスッポリ収まったのでZOTAC GAMING ZONEを外に持ち出してみた。サイズの参考に名刺入れを置いてみた

グリップの握り心地がよく、滑りにくいため、外でも安心してプレイできた

屋外での視認性を比較するため、自宅の屋上にZOTAC GAMING ZONEとASUS ROG Allyを持ち出してみたが、どちらも輝度が高めなのと、曇り空だったこともあり、視認性はかなり良好だった

 ハードウェア的にはかなり魅力的なZOTAC GAMING ZONEだが、個人的に気になったのは折角搭載したタッチパッドのクリック操作だ。1つのタッチパッド内に2つのボタンが配され、右クリックと左クリック操作となっているのだが、これがかなり誤操作が発生しやすい。また、タッチパッド上から押す都合上、どうしてもクリック時にカーソルが動いてしまうのだ。

 標準でプリインストールされるランチャーアプリ「One Launcher」上でならコントローラー部の十字キーやアナログスティックでゲームを選択する事が可能だが、STEAMクライアントなどを開いて直接操作する事はできない。このような時に外付けのマウスやキーボードを使うことなく、タッチパッドでSTEAMクライアントが操作できる点はかなりありがたいのだが、肝心のクリック時の操作性が低いのでは使えない。これらクリックボタンをカスタマイズで他のボタンなどに割り当てられたらかなり使い勝手は向上すると思われるので、アップデートなどで対応してほしいポイントだと感じた。

 もう1点はその「One Launcher」についてだ。基本的な動作については問題ないのだが、例えばフレームレートのオーバーレイ表示など、常にゲームプレイ時のフレームレートをチェックしたいマニア向けの機能が用意されていない点は気になった。まぁ筆者の場合は職業病のようなところもあるが……

 また、アプリ自体がフルスクリーンに対応しておらず、Windows 11のタスクバーの設定をデフォルトで「自動的に隠す」ようにすることで、疑似的にフルスクリーンに見せている。しかもOS再起動のたびにこの設定を戻してしまうのだ。

 そのため、画面下部の辺りを操作しようとすると、タスクバーが突如現れて誤操作してしまったり、Windows 11側のタスクバー設定を「常に表示」に変更すると、「One Launcher」が全画面表示ではなく、通常アプリのようなビジュアルになってしまう。

 フルスクリーンに対応していない点は別に問題はないのだが、筆者はWindows 11のタスクバーを常時表示しておきたいタイプの人間なので「自動的に隠す」設定がデフォルトになっていて、かつ毎回起動時に設定を戻してくる点はかなり気になってしまった。デフォルト設定は仕方ないとしても、再起動のたびにタスクバーの設定を変更されてしまう仕様は、アップデートなどで改善してほしいポイントだ。

Windowsの設定を確認してみると、デフォルトでタスクバーを「自動的に隠す」設定になっていた

隠さない設定にしてみたところ、普通のアプリケーションのような表示になった

キャリングケースやドッキングステーションなど豪華な予約特典も魅力!

 ZOTAC GAMING ZONEでは、初回予約特典として、「キャリングケース」と「ドッキングステーション」、Tシャツなどが付属する。いずれも別売オプションとしての販売予定は今のところないそうなので、これら初回予約特典が無料で付いてくる予約購入はかなりお買い得と言える。

 「キャリングケース」は本体を収納して、ガッツリ保護できるハードタイプのケースだ。ケース内の仕切りなどをうまく活用する事で、SDカードやケーブルなども一緒に収納して持ち運びが行なえる。さらに本体に備えるストラップホールに装着して利用できるストラップも付属するため、安心して持ち運べるようにするためには是非とも押さえておきたいオプションとなっている。

初回予約特典の1つ、キャリングケースも立派な外箱に入って到着した

かなり頑丈なハードタイプのケースなので収納して持ち運べば安心だ

収納時はかなりガッツリ本体を抑える形となる

蓋の裏にはゴムバンドが付いており、ケーブルなどが収納可能

ZOTAC GAMING ZONEのストラップホールに装着可能なストラップも付属する

 続いて「ドッキングステーション」については、底面端子に直接載せるタイプではなく天面端子にケーブルで固定するタイプ。本体はUSBハブの機能も備えており、左側面にはUSB 3.0 Type-A端子、背面には給電用USB Type-C端子の他、有線LAN端子、HDMI出力、USB 3.2 Type-A端子を備え、右側面にもUSB Type-C端子を備え、USBハブとしての機能も充実だ。

 さらには底面部のネジを外すと、空きのSSDスロットが用意されており、ここにSSDを内蔵する事で、外付けSSDドライブとしても活用できるのだ。ZOTAC GAMING ZONEは内蔵SSDの容量が512GBで、近年リリースのポータブルゲーミングPCとしてはやや控えめな容量だが、この容量不足を補える機能が「ドッキングステーション」に用意されているというのは、なかなかぬかりがなく、好感触だ。

 加えて本体を置く台座の部分にはかなりゆとりが設けられており、ZOTAC GAMING ZONEでの利用はもちろんのこと、ぶっちゃけNintendo Switchなど、他社製品などを載せて活用することもできる点はありがたい。

もう1つの初回予約特典、ドッキングステーションも専用の外箱に入って到着

専用ポーチや後述のSSD内蔵用ガードなどが付属

本体天面部のUSBポートに接続して利用する

本体右側面にはUSB 3.0 Type-A端子を備える

背面には給電用のUSB Type-C端子、優先LAN、HDMI出力、USB 3.2 Type-A端子を装備

右側面にもUSB Type-C端子を備える。台座の部分は折り畳み式となっており、収納時はコンパクトに畳める

本体底面。中央のネジを外すと……

なんと!中には空きのSSDスロットがあり、ここに余ったSSDなどを装着する事で、ドッキングステーション自体を外付けドライブとして利用できる

予約特典を含めるとかなり高コスパなポータブルゲーミングPC

 以上、ZOTAC GAMING ZONEについて、ゲームプレイを中心にその性能をチェックしてみた。最後発のポータブルゲーミングPCということもあって、ゲーマーが気になりそうなポイントがしっかり抑えられたハードウェアに仕上がっているように感じられた。

 スペック的には最新のRyzen 7 8840Uを搭載し、メモリも16GBあるので、大きな不満は感じられない。なお、今回は触れなかったが、ベンチマークテストなども実行してみたが、ZOTAC GAMING ZONEはこれまで筆者が触れてきたポータブルゲーミングPCの中でも最高峰のスコアを叩き出しており、その性能面は“最強”の2文字が相応しい。

 唯一の不満ポイントで言えば、内蔵SSDが512GBしかない点が気になるが、これについてはmicroSDスロットを活用したり、「ドッキングステーション」にSSDを内蔵して外付けドライブとして使うことで、大容量のストレージが確保できるため、運用面ではあまり気になることはないだろう。

 「キャリングケース」や「ドッキングステーション」などの予約特典も込みで考えると、税込で13万5,300円はかなりコストパフォーマンスの高い価格設定と言える。自宅では「ドッキングステーション」と接続して大画面でゲームが楽しめるほか、外出先でも「キャリングケース」で持ち運んで手軽にゲームが楽しめるのに加えて、ゲーム以外の動画視聴やゲーム配信など、PCならではの活用も想定しているなら、ZOTAC GAMING ZONEは有力な選択肢の1つとして大いにアリな製品と言える。

(C)ZOTAC 2024