1月に上演する「二人椀久」の取材会を行った中村壱太郎(左)、尾上右近

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尾上右近(32)中村壱太郎(34)が13日、都内で、「壽初春大歌舞伎」(1月2〜26日、東京・歌舞伎座)で上演する「二人椀久」の取材会を行った。

椀久こと椀屋久兵衛が、恋い焦がれる遊女松山のまぼろしと出会い舞い踊る作品。2人の配役で18年の右近の自主公演「研の會」で上演され、本興行では今回が初めて。

椀久を踊る右近は「これぞ2人の『二人椀久』だというものをお届けしたい。令和にキラキラと輝く『二人椀久』にしたい」と話し、松山をつとめる壱太郎も「究極に美しい舞台にしたい。シンプルな世界で、松と月と僕らしかいない。少ないパーツでどれだけ究極の美しい世界を作れるかという美学がすごく好き。この作品の研ぎ澄まされた世界観を出したい」と語った。

演目の魅力について、壱太郎が「とても硬いつぼみがだんだん花開いて、全開になって散っていくような作品。踊りの美しさに特化している」と話し、右近は「想像力で楽しめる魅力が詰まっている。音楽劇で舞踊劇で、終わったあとも余韻がある。少ない表現の中にいろいろな要素がある」とした。

5代目中村富十郎さんと4代目中村雀右衛門さん、片岡仁左衛門と坂東玉三郎といった名優コンビが「二人椀久」を演じてきた。右近は「プレッシャーとして感じないタイプなので、あくまでも自分たちらしくやっていきたい」、壱太郎は「自分がやってきたことは間違ってないと信じれば、必ずいいものになると思う」と力強く語った。

公私ともに仲が良い2人。右近が「熱量が同じだし、目指す頂上は同じだけど道のりが違うということをお互いに分かり合っている」と言うと、壱太郎も「歌舞伎以外のことでも話し合える仲。踊りにつなげて言うと、しゃべらなくてもできる距離感、呼吸がある」と応じた。

今年は1月歌舞伎座で「京鹿子娘道成寺」をダブルキャストでつとめ、25年は「二人椀久」。今後の共演演目について2人が「『蝶の道行』がいいね」と一致すると、壱太郎は「26年1月は『蝶の道行』かな」と期待を寄せた。