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大分県内には50メートルの屋内プールがなく、全国的にみても整備が遅れているため、県水泳連盟が建設を求める署名活動に乗り出しました。なぜ屋内プールが必要なのでしょうか?

【写真を見る】屋内50mプールがない 水泳競技で水温35度…屋外は環境劣悪でタイム伸びず 屋内プール建設求める動き本格化

別府市営青山プールは、大分県内で水泳競技の公式大会が開催できる唯一の50メートルプールです。ただ屋外施設なので、夏場は水温が急激に上がり、熱中症の危険性も高まるため、九州大会以上の開催は見送られています。

別府市綜合振興センター 堀陽一課長:
「水温が高い状況は続いています。夏場は手を突っ込んだら34度や35度の水温になります。選手が泳ぐ状態としては、あまり良くないと思います」

屋内プールであれば、気温・水温ともに快適な温度が保たれ、年間を通して利用できます。こうした50メートルの屋内プールがないのは、全国で大分を含むわずか7県のみです。

県水泳連盟 嶋幸一会長:
「50メートルの公認屋内プールがないのは、九州では大分県のみです。夏の暑い時の屋外プールの環境はひどいもんです。安全面、記録面においても非常にデメリットがある」

水泳競技の主要大会への出場は、『予選の順位』ではなく、『標準記録の突破』が条件になっています。別府市営青山プールでは水温の高さに加え、スタート台など設備の遅れで、屋内プールがある他県に比べてタイムが出にくいという大きなハンデを抱えています。

(選手)「水温がいつもより少し高かったり低かったりしただけで、泳ぎやすい泳ぎにくいがかなり変わってくるので、室内であればいつも同じ水温で泳ぎやすくなる」「選手の待合室もほしいし、陸でアップができる環境もほしい」

(保護者)「将来の子どものためのプール環境があれば、もっと選手の育成になるのではないかと思います」

環境改善に向けて、県水泳連盟は今年度から新たな屋内プールの建設を求める署名活動をスタート。特別委員会を設置し、30万人の署名を目標に掲げています。

県水泳連盟 清田哲也委員長:
「まだまだ私たち自身もお願いしきれていない部分があるので、1人でも多くの協力をいただけるようとにかく回りたい」

5日は、水泳連盟の役員や高校生ボランティアが大分市中心部で初めての街頭活動を実施し、署名を呼びかけました。

一方、県内の水泳界が本格的に要望活動に動き出したことについて、佐藤知事は一定の理解を示しています。

佐藤知事:
「スポーツ施設をきちんと整備していくことは、すごく大切なことだと思います。より誇れるまちづくりにつなげていくためには大変重要で、議論していく必要があります」

関係者によりますと、実は平松県政時代に大分国体に向けて、大分スポーツ公園内に屋内プールを建設する計画が進んでいたといいます。それが次の広瀬県政で立ち消えになった経緯があるため、水泳界には諦めきれない思いがあります。

県水泳連盟 嶋幸一会長:
「長らく屋内の50メートルプールを大分県にもほしいという強い思いを持っている。署名を集めた上でこのプール建設をしっかり目指して活動を続け、多くの人に理解をしてもらうということが大事だと思っています」

熱中症のリスクと地域間ハンデの解消に欠かせない屋内プール。県内の水泳界が一丸となって機運を高められるかが設置に向けた焦点の一つとなります。