オンラインゲームをプレイする子どもたちをターゲットとしてチャットルームやDiscordサーバーを運営し、未成年者に自傷行為や露骨な性的行為、自殺などを強要したとして、アメリカ連邦裁判所はオンラインテロリストネットワーク「764」のメンバーであるリチャード・デンスモアに対し、懲役30年の判決を下しました。

Office of Public Affairs | Member Of Violent 764 Terror Network Sentenced to 30 Years in Prison For Sexually Exploiting a Child | United States Department of Justice

https://www.justice.gov/opa/pr/member-violent-764-terror-network-sentenced-30-years-prison-sexually-exploiting-child



Discord terrorist known as “Rabid” gets 30 years for preying on kids - Ars Technica

https://arstechnica.com/tech-policy/2024/11/discord-terrorist-known-as-rabid-gets-30-years-for-preying-on-kids/

Michigan man sentenced to 30 years in prison for role in online child exploitation ring - Newsday

https://www.newsday.com/news/nation/michigan-child-sexual-abuse-764-j29419

After sentencing, US attorney talks threats of child sexual exploitation by online terrorism groups • Michigan Advance

https://michiganadvance.com/2024/11/08/after-sentencing-us-attorney-talks-threats-of-child-sexual-exploitation-by-online-terrorism-groups/

「Rabid(ラビッド)」として知られるデンスモアは、Discord上にオンラインの「Sewer(下水道)」コミュニティを作成し、オンラインゲームサイトで未成年者を集めました。「Sewer」コミュニティでは、集まった子どもたちに対し恐喝や脅迫が行われ、被害者は自傷行為や暴力行為、性的行為を録音・録画することが求められました。2022年10月には、デンスモアが未成年の少女に対して胸に「Rabid」と書いた自身のヌードビデオを送信するように求めたことも報告されています。

デンスモアは被害者に対し「お前の情報はすべて持っている、お前はもう私のものだ。私の言う通りにするんだ」と恐喝し、性的・暴力的なライブストリームに参加しない場合、これまで送信した画像を公開すると脅迫していたことが伝えられています。



アメリカ司法省によると、デンスモアが所属するオンラインテロリストネットワーク「764」は、被害者への組織的なグルーミングや恐喝を行って社会的な混乱を引き起こし、世界秩序を混乱の渦に巻き込むことを目的としているとのこと。

アメリカ司法省のマシュー・オルセン司法次官補は「764は児童性的虐待資料やその他の生々しく暴力的な資料の所持や生産、配布を常態化し、武器化するために活動しているテロリストネットワークです。このグループは究極的に、子どもたちをターゲットとすることで市民社会を破壊し、アメリカ政府を崩壊させることを望んでいます」と指摘しました。また、デンスモアのようなユーザーは自分自身の名声を膨らませるために764に参加しており、その多くが「764ネットワークのエンターテインメントのためにライブストリームで被害者を自殺に追い込む」という最終目標を持っているそうです。

そして2024年11月7日に、連邦裁判所はデンスモアに対し「児童を性的に搾取した」として懲役30年の判決を下しました。メリック・ガーランド司法長官は「デンスモアは児童を性的に搾取し、被害者の児童に対して自傷行為や露骨に性的な行為、暴力に関する録音・録画を強要しました。こうした764のオンラインネットワークを構築に関与したデンスモアの罪は重く、今後30年間を連邦刑務所で過ごすことになります」と述べ、「このような凶悪な虐待を未成年者が経験すべきではありません。司法省はこの堕落した行為に関与した犯罪者が今後も法的責任を問われることを確実にします」と宣言しました。



また、判決後に行われた記者会見の中でオルセン氏は「罪のない弱い立場の子どもたちを標的とした、このような衝撃的で非人道的な暴力は理解できませんが、目を背けるわけにはいきません」と述べています。

FBIのクリストファー・レイ長官は「デンスモアは、オンラインゲームサイトを通じて子どもを標的としたコミュニティを画策し、未成年者の被害者に自傷行為や暴力行為を録音・録画するよう強要しました。オンラインで子どもたちを食い物にしているグループを我々は許しません。FBIはあらゆる資源と権限を使ってメンバーを逮捕し、法的責任を問うつもりです」と語りました。

FBIは親や保護者に対し、オンラインとオフラインの両面で子どもの行動に注意を払うよう警告しています。実際に764は被害者に対し、カミソリの刃や性的なデバイス、ギフトおよびオンラインコンテンツの作成に使用するその他の材料を発送するケースもあったとのこと。そのためFBIは不審な荷物の到着に警戒を促しているほか、不審な切り傷や打撲痕、傷跡がないか目を光らせるよう忠告しています。