日本勢にも全敗…韓国Kリーグ3連覇王者のACL最下位が「予告された惨事」なワケ クラブW杯にも暗雲

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無得点、10失点。これがアジアにおける韓国王者の現在地だ。

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Kリーグ1(1部)3連覇を達成した蔚山(ウルサン)HD FCが、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)東地区のリーグステージで12チーム中最下位に沈んでいる。

4試合終了時点で4敗の勝ち点0。開幕から川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸と日本勢に3連敗を喫した。

東西地区合計24チームのなかで唯一、勝ち点も得点もない。東地区11位のセントラルコースト・マリナーズ(オーストラリア)でさえも1分3敗で勝ち点1を記録している。韓国王者とは思えない屈辱の成績だ。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)蔚山HD FC

もっとも、これは「予告された惨事」とも言える。

蔚山は今夏の移籍市場で適切な補強に失敗した。特に、セルビアのツルヴェナ・ズベズダに移籍した韓国代表DFソル・ヨンウ(25)が抜けたサイドバックの穴埋めが最優先だったが、新戦力獲得に失敗した。

それでも、ストライカーにブラジル人FWヤゴ(25)、ボランチにJリーグ経験も豊富な元韓国代表MFチョン・ウヨン(34)を補強したが、ともにシーズン終盤戦は負傷で苦しんでいる。ただでさえ、蔚山は韓国代表クラスのMFウォン・ドゥジェ(26)を夏にUAEのホール・ファカン・クラブに放出した状況であり、中盤にも“駒不足”が発生している。

そもそも、蔚山は各ポジションで“主力の高齢化”が指摘されており、即戦力の補強が求められていた。来年夏には新形式のクラブワールドカップへの出場も控えているだけに、「夏の市場で勝負しなければ」という声もあった。当時はホン・ミョンボ前監督が韓国代表指揮官に就任し、後任としてキム・パンゴン現監督が指揮を託された状況だった。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)蔚山HD FC

今季の蔚山は外国籍選手の補強で失敗した。ブラジル人MFマテウス(29)、ブラジル人FWケルビン(27)を獲得したが、どちらも期待以上の活躍はなかった。特に、ケルビンは加入からわずか半年で大田(テジョン)ハナシチズンへと放出された。

今夏には元ジョージア代表MFギオルギ・アラビーゼ(26)を獲得。昨季まで蔚山で活躍した同郷の元ジョージア代表MFヴァレリ・カザイシュヴィリ(31、山東泰山)に続く“第2のカザイシュヴィリ”と期待を集めたが、未だチームへの適応に苦労している。

就任直後からKリーグ、ACLE、コリアカップの3コンペティションを並行する過密日程を突き付けられたキム・パンゴン監督は、チームの現状を考慮して積極的にターンオーバーを行い、起用できる選手の幅を広げようとした。

その中で、重心はリーグに置いた。結果、目的通りKリーグでは就任後11試合で8勝2分1敗の成績を収め、2試合を残して早期優勝を確定した。ただ、国内とは対照的にACLEでは悲惨な成績が続いている。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)蔚山HD FC

それでも、11月5日にアウェイで迎えたACLE第4節のジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)戦では、指揮官が注力する姿が見えた。

同月1日のKリーグ1第36節江原(カンウォン)FC戦で3連覇を確定し、中3日で迎えた一戦だったが、キム・パンゴン監督はジョホール戦で既存の主力を多数送り出した。ACLEでの未勝利を断ち切ろうという意志が伝わってきた。

しかし、結果は悲惨だった。特に、直近の江原戦にも出場したDFキム・ヨングォン(34)、DFキム・ギヒ(34)、元スウェーデン代表MFダリヤン・ボヤニッチ(29)など中盤以降の選手は集中力を欠いた様子だった。江原戦で1ゴールの活躍を見せたFWチュ・ミンギュ(34)も、やはり体が重く見えた。

江原戦で途中出場8分間のみのプレーだったマテウスは、先発出場したにもかかわらず前半22分でMFイ・チョンヨン(36)との交代でベンチに下がった。連日フル出場が続いたDFイ・ミョンジェ(31)に代わり、左サイドバックではMFキム・ミヌ(34)がプレーしたが、優れたパフォーマンスではなかった。

(写真提供=韓国プロサッカー連盟)蔚山HD FC

これらすべて、夏の移籍市場での“油断”が生んだ結果だ。このままでは、親企業も大きく関心を寄せる来夏のクラブワールドカップで恥をかくことは明確だ。

蔚山は来る冬の移籍市場で資金を注力する方針を掲げているという。キム・パンゴン監督をはじめとするコーチ陣の望む補強がなされるのか、来季に向けたチーム編成に注目したい。