佐々木朗希ポスティングでのメジャー挑戦ロッテが容認 移籍先最有力は大谷のドジャース
ロッテは9日、佐々木朗希投手(23)のポスティングシステムによるメジャー移籍を容認したと発表した。現行の大リーグの労使協定ではマイナー契約しか結べず、年俸は低く抑えられる。ロッテ側も高額の譲渡金を得ることはできないが、早くから米挑戦を要望していた165キロ右腕の夢を後押しする決断を下した。佐々木は球団を通じ、「世界一の選手になれるよう頑張る」とコメント。移籍先の最有力候補には大谷、山本らが所属し、今季ワールドシリーズを制覇したドジャースが挙がっている。
朗希が夢の舞台への切符をつかんだ。ロッテがポスティングによるメジャー移籍へ向けた手続きを開始すると発表したことを受け、佐々木は感謝を示した上で「マイナー契約からはい上がって、世界一の選手になれるよう頑張ります」と球団を通じて決意表明した。
早期渡米を望む朗希の思いが実った。ポスティングを容認したロッテの松本尚樹球団本部長はZOZOで対応。入団時から球団との間に約束があったかについて「全くない」とした上で、入団時から米移籍を熱望していた事実を明かした。現行のルールでは、25歳未満とあってマイナー契約しか結べず、年俸も安くなるが、同本部長は「『とにかく早く行って勝負したい』『若い年齢で勝負したい』と入団当初から言っていた。総合的に判断して今年容認した」と説明した。
2年待てば、昨オフに山本がドジャースと結んだ12年総額3億2500万ドル(約465億円=契約当時のレート)規模の大型契約が期待できたが、年俸は安く抑えられる。球団にもメリットは小さく、山本の移籍でオリックスが約72億円を得たような高額な譲渡金は入らないが、夢を後押しする決断を下した。
8月30日のソフトバンク戦(ZOZO)に15球団が集結するなど、メジャーの各球団は佐々木の登板に合わせて視察を重ねてきた。今季はドジャース、カブス、ヤンキース、パドレス、レイズなどの編成責任者が来日。大型契約の必要がなく、資金力の劣るチームにも獲得チャンスが広がるため、全30球団が名乗りを上げても不思議ない状況だが、中でも移籍先の本命となるのは大谷、山本の所属するドジャースだ。編成責任者のフリードマン編成本部長は10月1日の楽天戦(楽天モバイル)を訪れ「素晴らしく才能がある投手なのは明白。過去にアメリカに渡った投手たちの仲間に入れる人材」とコメント。大谷、山本ら先輩がいる環境面に加え、先発投手は今オフ最大の補強ポイントでもあり、来季は6人で先発ローテを回す構想があることもプラスに働きそうだ。
22年に史上最年少20歳5か月で完全試合を達成したが、1年間先発ローテを守った経験はない。過酷なメジャーへの適応がカギになるが、佐々木は「一度しかない野球人生で後悔のないように、そして今回背中を押していただいた皆様の期待に応えられるように」と活躍を誓った。ポスティングの申請時期は12月15日の締め切り間際になる見込み。日本屈指の素質を持つ165キロ右腕が、決意を胸に海を渡る。
◆佐々木朗希のコメント
「入団してからこれまで継続的に将来的なMLB挑戦について耳を傾けていただき、今回こうして正式にポスティングを許可していただいた球団には感謝しかありません。ロッテでの5年間はうまくいかなかったことも多かったですが、どんな時もチームメート、スタッフ、フロント、そしてファンの皆様に支えられながら、野球だけに集中してここまで来ることができました。一度しかない野球人生で後悔のないように、そして今回背中を押していただいた皆様の期待に応えられるように、マイナー契約からはい上がって世界一の選手になれるよう頑張ります」
◆25歳ルール メジャー球団が25歳未満の海外選手を獲得する場合、契約金等の総額を年間500万ドル(約7億6000万円)程度に制限するルールが設定されている。マイナー契約(メジャー出場は可能)しかできないため、ポスティングシステムを利用した場合に契約金や年俸の総額によって変わる旧所属球団への譲渡金は大きく減り、NPB球団の見返りが少なくなる。大谷も3年目までは年俸が1億円に達しなかった。
◆佐々木 朗希(ささき・ろうき)2001年11月3日、岩手・陸前高田市生まれ。23歳。小学3年で野球を始める。大船渡では甲子園出場なしも19年のU―18日本代表に選出。4球団の競合の末に19年ドラフト1位でロッテ入団。22年4月10日のオリックス戦(ZOZO)で完全試合を達成。192センチ、92キロ。右投右打。