黒星発進となった大森北斗(左)、羆嵐組

写真拡大

 「プロレス・全日本」(9日、後楽園ホール)

 マット界の暮れの風物詩「世界最強タッグ決定リーグ戦」が開幕した。

 入場式ではいきなり大乱闘が繰り広げられ、そのまま今年最初の公式戦となるBブロックの黒潮TOKYOジャパン、立花誠吾組−サイラス、ハートリー・ジャクソン組に突入。イケメンとサイラスが花道奥までもつれ込む場外乱闘を展開している間に、ジャクソンに担ぎ上げられた立花が回転エビ固めで丸め込む番狂わせでスタートした。

  ◇  ◇

 続くAブロック公式戦は、昨年は中嶋勝彦と組んで優勝した大森北斗が羆嵐とのコンビで関本大介、真霜拳號組と激突。大森は真霜に急所打ち、関本に横入り式エビ固めを同時に決める離れ業で分断に成功したが、コーナー最上段からの攻撃を狙うも登るのに時間がかかりすぎて真霜に蹴落とされ、最後は関本のバーニングハンマーであえなく轟沈した。

 「関本大介1人の力で勝ったよ!」(真霜)、「真霜拳號がコーナーにいたからいつも以上の力が出せたよ!」(関本)と快勝に高笑いの関本組と対照的に、羆嵐の肩を借りた大森は「どうなってんだよ?俺去年優勝してんだぞ!開会式も最初に入場だし!ザコの順番だろ!」とボヤキが止まらず。黒星発進にもかかわらず「クマ!こうなったら優勝するしかないぞ!俺たちが全勝優勝だ!」と、ナゾの怪気炎を上げていた。

  ◇  ◇

 青柳優馬、阿部史典組−佐藤光、宮本裕向組の「バカの時代」対決がBブロック公式戦で実現。佐藤の羽根折り腕固めで追い込まれた青柳だが、ボディースラムからのジャックナイフで丸め込んだ。

 阿部は「初戦に勝ったチームは優勝できないって流れがある」と不吉なジンクスをなぜか持ち出し、青柳が「俺たちの最強タッグはこれで終わった」と受けると、自分から振ったにもかかわらず「バカ!」と一喝。青柳は「意外とファンの間では優勝予想で上の方だから」と意に介さなかった。

 前日の記者会見では諏訪魔主演で「裸の大将」を映画化する計画をブチ上げた佐藤は、試合後も「『バカヤロー!』って映画知ってっか?オマエら(青柳と阿部)、『バカヤロー!5』の主役だ!」と、映画の話だけして控室に消えた。

  ◇  ◇

 本命視される世界タッグ王者の斉藤ジュン、斉藤レイの斉藤ブラザーズは、Aブロック公式戦で、DDTを退団した斉藤ブラザーズ推しの大石真翔と、ベルギーから初来日したマイク・D・ベッキオの異色コンビと対戦した。

 大型ながらサマーソルトキック、延髄斬り、その場跳びムーンサルト、ムーンサルトプレス、ノータッチトペ、ミサイルキックなど多彩な空中殺法を駆使するベッキオに翻弄された斉藤ブラザーズだが、最後はアイスバインに来た大石をレイがチョークスラムでたたきつけ、アイスバインで悠々と3カウント。

 レイは「まこりんの愛はしっかりと受け止ったぜ」と余裕しゃくしゃくだったが、ベッキオには「アイツすごいな」と感嘆。ジュンも「力強くて速くてタフな選手だな。またやりたいな」と、新たな好敵手として意識していた。

 推しメンと対戦できた大石は「僕の愛も斉藤ブラザーズの愛も伝わりましたよ!」と喜びつつも。「でも負けて悔しい。ワンモアタイム!」と再戦を要求。ベッキオは「問題ない。僕らはフレンズ」と慰めていた。

  ◇  ◇

 メインのBブロック公式戦では、バカの時代を離脱してエボリューションとして臨む諏訪魔、鈴木秀樹組と宮原健斗、新3冠ヘビー級王者デイビーボーイ・スミスJr.組が激突した。

 スミスと宮原を分断したエボリューションは、諏訪魔がスミスをラリアット、2人がかりの人間風車、ジャーマンスープレックス、ラリアット、ラリアットと大技攻勢で追い込み、サムアップからトドメのバックドロップを放つが、スミスはカウント2でキックアウト。バックドロップ、バックドロップホールドで逆襲すると、最後はブルドッグボム(ライガーボム)で完璧な3カウントを奪った。

 観客と「アイ・ラブ・ゼンニッポン!」コールを決めたスミスは「俺たちがファーストプレイスを取るぞ!イチバーン!次は斉藤ブラザーズだ!」と、意気揚々と宣言。諏訪魔は「全部俺の責任だよ…クッソーッ!こんなんじゃない俺は。ホント秀樹に申し訳ないとしか言えない。エボリューションに期待してくれてたファンの皆に申し訳ない」と肩を落としつつも、「まだまだ諦めず頑張りますよ」と、巻き返しを誓っていた。