相場展望11月4日号 米国株: トランプ氏と議会選で共和党勝利⇒一時的株高⇒後、金利高で株安? 日本株: トランプ氏は同盟国にも関税10%適用⇒日本は輸出減・円安
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)10/31、NYダウ▲378ドル安、41,763ドル 2)11/01、NYダウ+288ドル高、42,052ドル【前回は】相場展望10月31日号 日本株: 首相は「政権維持」に集中、「政策実行は停滞」⇒株価には重荷 一方、野党の要求を優先⇒財政拡大し、株価には追い風も
●2.米国株:トランプ氏と議会選で共和党が勝利の場合、一時的株高⇒金利高で株安
1)10/31の米国株は、軟調な決算発表に引きずられ下落 ・10/31の米国主要株価指数は大幅下落 PHL半導体株(SOX) ▲4.01%安 ナスダック総合 ▲2.76%安 ナスダック100 ▲2.44%安 S&P500 ▲1.86%安 ラッセル2000 ▲1.79%安 NYダウ ▲0.89%安2)11/1、トランプ氏の大統領選の勝利確率が増し、株高を予想した先取り買いで上昇 ・NYダウは前日比+288ドル高。一時+560ドル超上昇したが、買い一巡後は持ち高調整の売りが出た。 ・ハイテク株も買い直された。
3)大統領選でトランプ氏勝利&議会選も共和党が上下両院で勝利のケース (1)一時、株価は上昇 ・減税で企業利益に恩恵をもたらす。 ・規制緩和で企業活動が活性化し企業収益にプラス。 上記要因で、株価は上昇が予想される。
(2)その後、インフレが再加速し、金利上昇のため米国株は軟調 ・移民規制が強化されると、労働力不足で賃金が上昇。 ・関税強化(対中国60%・対同盟国にも10%に引上げ)で輸入コストが上昇し米国消費者物価が急伸し、インフレ再加速。 ・FRBは金利を引上げてインフレ退治へ。 ・原油価格は企業活動活発化で需要が増し上昇圧力が増す。そうなれば、インフレ加速で金利の上昇を招くため、株価にとってリスクとなる。
●1.米国バークシャー、アップル株を売却、手元資金が過去最高(ロイター)
1)著名投資家バフェット氏が率いる米国投資会社バークシャーは、アップル株を7〜9月期に約1億株を減らし、約3億株としたと四半期報告書で明らかにした。バークシャーは今年に入り、アップル株を6億株以上売却したが、依然として699億ドル相当のアップル株式を保有している。手元資金は、過去最高の3,252億ドルとなった。2)バークシャーは、バンク・オブ・アメリカ(BofA)などの保有株を総額361億ドル売却した半面、購入額は15億ドルに留まった。8期連続の売り越しとなった。
3)バークシャーの売り越しスタンスは、投資家の間で米国経済や市場に対する懸念が浮上する可能性がある。
●3.インテルをNYダウ構成銘柄から除外、エヌビディアを追加、半導体の主役交代を象徴(読売新聞)
1)インテルは創業以来最大の▲2.5兆円の赤字。エヌビディアは生成向け半導体で世界シェアの8割を握り、株価は1年で3倍以上も高騰し、時価総額はアップルに次いで世界2位。2)NYダウ構成銘柄に採用で、NYダウは過去最高水準をさらに押し上げる可能性。
●4.米国10月ISM製造業景気指数は46.5に低下、2023年7月以来の水準(ロイター)
1)前月の47.2から低下。●5.米国雇用統計、10月の非農業部門雇用者数+1.2万人増、予想は+11.3万人増(ロイター)
1)10月はハリケーンやボーイングでのストライキの影響で労働市場が混乱した。エコノミスト予想は0〜20万人増だった。2)失業率は4.1%と前月と変わらず。
●6.アップル、見通しが冴えず株価下落、第4四半期は予想上回る(ロイター)
1)第4四半期決算(9/28まで)の売上高と一時費用を除く利益が市場予想を上回った。9月に発売されたAI(人工知能)対応新型iPhone16の好調な販売が追い風となった。2)ただ、同社が示した控えめな見通しを受け、こうした販売好調が今後も続くかどうかを巡る疑念が高まった。中国での売上高減少も懸念材料となり、株価は10/31引け後の時間外取引で約▲2%下落した。
●7.米国インテル、7〜9月決算で約2兆5,200億円の最終赤字、半導体を巡る競争で(NHK)
1)半導体を巡る激しい競争で自社製品の需要が落ち込み、製造設備などの減損損失をおよそ▲2兆4,080億円計上したことなどが主な要因。2)半導体メーカーでは、受託生産世界最大手の台湾TSMCや米国大手のエヌビディアが利益を大きく伸ばしており、明暗が分かれる形となっている。
●8.アマゾン、7〜9月期決算で利益・売上高が予想超え、ネット通販の改善で(ロイター)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)10/31、上海総合+13高、3,279 2)11/01、上海総合▲7安、3,272■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)10/31、日経平均▲196円安、39,081円 2)11/01、日経平均▲1,027円安、38,053円●2.日本株:トランプ氏は同盟国にも関税10%適用⇒日本は苦境、輸出関連が打撃
1)日経平均推移の要旨 ・10/31、日経平均▲196円安も、空売り比率38.7と低いなかでの、下落だった。利益確定目的の売りで、下落した。 ・11/01、日経平均はNYドルに対して「割高感は解消」。 NYダウ+288ドル高、日経平均▲1,027円安。 ・週明けの11/5の日経平均は、円安効果も加わり反発高を予想。 11/1 円相場が円安 :東京152.47円⇒NY円相場 152.98円、▲0.51円安。 11/1 長期金利差拡大:東京時間で3.327%⇒NY時間で3.432%、金利差は 1日で+0.105%拡大し、円安進行を誘導。2)トランプ氏勝利で同盟国にも関税10%に引上げ⇒日本の輸出関連企業は苦境・株安 ・自動車・商社など輸出関連企業は業績悪化。
・米国向け生産の縮小、米国製造増強で輸出が減るだけでなく、国内生産の縮小に伴う人員削減など、多方面にマイナス効果が出る。
・トランプ氏が大統領になれば、政治基盤の脆弱な石破首相は相手にせず。 トランプ氏の言い分を丸呑み要求されるだけ。 トランプ氏と対峙するには、(1)盤石な政治基盤 (2)米国・日本にも有益な世界戦略的提案 (3)強い使命感 が必要。
・日本のファンダメンタルズ悪化で「円安」。 ・日本の貿易収支が悪化し、赤字転落と赤字定着もあり得る。
・日本経済は、円安進行で物価が上昇し、インフレ進行。 ・日銀も金利引上げに追い込まれ、不景気のなかでの金利高・物価高となる可能性がある。
・賃上げどころではなくなる。 ・最低賃金1,500円に強引に引上げると、中小企業の労務倒産が多発し、失業者があふれる可能性がある。(最低賃金の大幅アップは、韓国の文在寅・前大統領が大失敗して、実証済み) ・実質賃金はマイナス継続。 ・直近27カ月は実質賃金がマイナスであり、食料品以外の消費支出は節約。 ・この実質賃金マイナスがさらに続くことにる。
・トランプ氏は対中国関税を60%に引上げる方針であり、そうなれば中国の成長エンジンである輸出が大きな痛手となる。 ・中国経済の停滞は長く続くことになる。 ・中国への輸出依存度が高い日本企業なども影響を受ける。
3)トランプ氏の大統領選勝利は、日本株は当初は連れ高も、一巡後は日本株安? ・関税10%適用されると、日本売りの様相を強める可能性が出てくる。
・トランプ氏の大統領選挙を勝利すると、米国企業向け規制緩和で円安・ドル高となる。関税大幅引上げで、日本など米国向け輸出企業は米国で生産増強投資を行い関税回避策を取ると思われる。つまり、米国での生産を増やした分だけ、日本では生産縮小・人員整理が進行することになる。輸出企業の日本離れが進行することになる。 ・円安は輸出関連企業にとって、プラスだけではない。日本は食料品だけでなくパソコンなど身近な商品も輸入に頼っている。それらが円安で購入価格が上昇する。企業にとって従業員の生活を守るためにも賃上げは避けられない。円安は輸出企業にとって、コストアップの要因ににもなる。
・トランプ氏の関税大幅引上げは、日本を襲うゴジラのようなものになると思われる。
・日本の株式市場にとっても、強い逆風になると予想される。トランプ効果で米国株が上昇、日本株も連れ高するだろう。しかし、トランプ氏が大統領として執務を行うようになると、日本の株式相場は突風で打撃を受ける可能性がある。吹き飛ばされないように、関税引上げを回避したいものである。石破首相の手腕の見せ所だ。
●3.イオンと京成電が株式持ち合い、商業施設の開発などで提携(ロイター)
●4.三菱商事、4〜9月期純利益6,180億円と前同期比+32.6%増、通期見通し据え置き(ロイター)
●5.SUBARU、4〜9月期営業利益2,219億円、前年同期比19.5%増、円安効果、通期据え置き(ロイター)
●6.旭化成、通期営業利益予想を1,950億円に上方修正、市場予想上回る(ロイター)
1)300億円上限に自社株買い、来年3月に消却。●7.丸紅、4〜9月期純利益2,381億円と前年同期比▲5%減、通期純利益は据え置き(ロイター)
●8.村田製作所、4〜9月期営業利益1,581億円、前年同期比+13.9%増、通期据え置き(ロイター)
●9.野村、7〜9月期純利益984億円、前年同期比+179%増(ロイター)
●10.三井物産、3月通期純利益予想9,200億円、+200億円上積み、市場予想上回る(ロイター)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・4568 第一三共 業績好調。 ・6728 アルバック 業績好調。 ・8630 SOMPO 業績好調。執筆者プロフィール
中島義之 (なかしま よしゆき)
1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。http://note.com/soubatennbou