【ワシントン時事】米大統領選では、外交政策も争点の一つだ。

 ハリス副大統領(民主)が同盟関係を重視する「国際協調」を続ける一方、トランプ前大統領(共和)は自国優先の「米国第一」を唱える。欧州や中東で続く紛争への対応でも考えは異なり、選挙結果は国際情勢を大きく左右する。

 ロシアが侵攻を続けるウクライナに対し、ハリス氏は軍事支援継続を訴え、地対地ミサイルなどを供与してきたバイデン政権の政策を踏襲する構えだ。トランプ氏は「就任前に決着をつける」と豪語し、ロシアとウクライナに働き掛け、早期の終結を実現したい考え。ハリス氏はウクライナに譲歩を迫ることになると批判している。

 次期大統領は、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザへの対応も迫られる。両候補共にガザでの早期停戦を訴えるが、パレスチナ国家樹立を認める「2国家共存」による和平を後押しするハリス氏に対し、トランプ氏は「非常に難しいだろう」と述べ、消極的だ。

 対中政策では、ハリス氏が競争しつつも不測の事態を避けるための対話を重視。トランプ氏は自国産業の保護を理由に関税を引き上げ、対立を辞さない姿勢だ。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に関しては、金正恩朝鮮労働党総書記との親密な関係を誇示するトランプ氏をハリス氏が批判し、正恩氏に「擦り寄るつもりはない」と明言している。

 ハリス氏は「同盟は米国を強くする」との立場で、日本を含む同盟国との関係を強化する方針だ。トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に国防支出の増加を要求しており、同盟国に防衛面での負担を求める意向を鮮明にしている。