山崎康晃「DeNAに入って10年ずっと悔しい思いしてきた。過去には『横浜銀行』なんて」…独占手記
◆SMBC日本シリーズ2024第6戦 DeNA11―2ソフトバンク(3日・横浜)
DeNAの山崎康晃投手(32)がスポーツ報知に独占手記を寄せた。守護神として出場した17年の日本Sは第6戦、1点リードの9回に内川(ソフトバンク)の同点弾を許し、延長の末に敗れ日本一を逃した。7年の時を経て成長した自身、チームについて明かした。
経験したことない景色が見られて本当にうれしいです。個人的には悔しさが残りましたけど、チームで日本一になれたことを心から喜びたいのと同時に、サポートしてくれたり応援してくれた人、また家族に本当に最大限の敬意を表したいと思います。
福岡には忘れ物がありました。7年前の借りを返した感覚ですね。内川さんにホームランを打たれた時はベストピッチだったので、力不足を感じました。負けてしまったことに今でもいろんな思いがある。野球人生においてもすごい大きな一日になっています。
当時はキャプテンが筒香さん。みんな心でまとまっていたし、やりきったって思いで終わりました。このタイミングで筒香さんが帰ってきてくれた。一緒に野球ができて楽しいし、また新しいチームとして生まれ変わったような感覚です。
筒香さんが帰ってきて会見したその後すぐに、僕と桑原と柴田と健大(石田)とご飯に行きました。そのあともすごくよく話します。チームのこと、「ブルペンはどうなの?」とか意見交換をする。そこにキャプテン・牧の考えで一本化していく。CSから日本シリーズまでいい働きかけができたかなと思います。
CSに入ってからはブルペン陣で特にどういう方向に向かっていくべきかという話をしました。最終Sの巨人2、3戦目ぐらいかな。ミーティングで「何が今必要だと思う?」となって、伊勢が「マウンドに立ってるのは1人だけど、上がり(ベンチ外)の投手も含めてみんなブルペンも戦っている。1人じゃないからみんなで戦っていこう」って話をしたんです。
彼の口からそういう言葉が出たことが、本当にうれしかった。僕もどこか1人で戦っているような感じがしていた。いろんな選手に心を鬼にして厳しいことも言ってきた中で、彼が同じようなマインドでいてくれたことで心から救われました。チームとしても一つになれたような気もしました。2017年はどうだったのかなって考えたら、やっぱりそういう環境はなかったので、チームとしての進化かなと思いますね。
ブルペンから試合に「さぁ、いけ!」って送り出す瞬間が僕は好き。僕が投げてない時、若い選手が経験して自信に変えていく姿に羨ましさとかはなく、気持ちがなんか熱くなるっていうか、うれしいんですよね。
時には自分の感情に素直になった瞬間もありました。後輩に、どういうふうに映っていたか分からないですけど。一生懸命やるし、悔しさも出すし、それも含めて僕。でも、よく周りを見るようになりましたね。それはやっぱり2017年にはなかった。
ソフトバンクさんと対戦する時の下馬評は、僕らが優勝するのを推されてないような感覚もありました。悔しさもあったし、はね返すぞという気持ちでした。DeNAに入って10年。ずっと悔しい思いをしてきた。過去には「横浜銀行」って言われていた時もあったらしいですしね。お客さんが入るようになってチームも成長している。一つになってみんなで勝ち切ったこの勝利は格別。野球人生における大事な瞬間になりました。(DeNA投手)
◆山崎 康晃(やまさき・やすあき)1992年10月2日、東京都生まれ。32歳。帝京で2年夏、3年春に甲子園8強。亜大を経て2014年ドラフト1位でDeNA入団。1年目に37セーブで新人王。15、19年プレミア12、21年東京五輪日本代表。18年から2年連続セーブ王。通算546登板、22勝36敗、231セーブ、防御率2・82。179センチ、88キロ。右投右打。6年契約2年目の今季年俸は3億円(推定)。