うつろな表情の小久保監督(撮影・佐藤厚)

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 「SMBC日本シリーズ2024、DeNA11−2ソフトバンク」(3日、横浜スタジアム)

 DeNAが4連勝で、26年ぶりの日本一となった。一方、ソフトバンクは悪夢の4連敗で4年ぶりの頂点を逃した。

 デイリースポーツ評論家・関本四十四氏は「結果、展開ともに予想できない日本シリーズになった」とし、11失点のソフトバンクについて「打線にしても投手陣にしても、ベンチも想定の範囲外ということがいくつも起きてしまった」と振り返った。

 結果的には両軍監督の采配が明暗を分けた。第3戦からことごとく継投が裏目となった小久保監督は、第6戦では有原に託した。だが、二回に3失点。3点を追う三回表の打席では有原に代打を送らず続投させたが、三回裏に押し出し四球で追加点を献上した。四回から継投策に入ったが、五回は3番手・スチュワートらが崩れ、一挙7失点で試合を決められた。

 一方、三浦監督の采配はズバズバとはまった。DeNAは大貫を4回2失点で代え、五回からは浜口を投入。五回の攻撃ではその浜口の代打・佐野が右前打を放った。好機を拡大してソフトバンク投手陣にプレッシャーをかけ、一挙7得点の猛攻となった。

 関本氏は「このプレーオフに入り、三浦監督は投手の出来、流れを見極めて、投手出身監督ならではの継投策が面白いようにはまった。攻めの姿勢が選手に伝わり、投打ともに強気のプレーが目立った。一方でソフトバンクは動けば当たらず、負けたら終わりの一戦でも後手後手となった。DeNAに押され、チーム全体が切羽詰まった雰囲気になっていた。今日は勝ちパターンのリリーフを中盤に入れても良かったし、流れを止めなければいけないところで崩れた。DeNAに完全に飲まれていたよな」と指摘した。

 象徴するのは3つの押し出し。有原、スチュワートがフルカウントからの一球を見極められ、失点を重ねた。第3戦と第5戦で8四死球、そして第6戦でも6四死球。関本氏は「DeNAの各打者に、余裕を持って見極められていた。出てくるソフトバンクの投手はアップアップ。DeNAの打線は勢いづくと手が付けられないが、その最高の状態が日本シリーズできた」と語った。

 シーズンでは貯金2の3位からの下克上。三浦監督は男泣きし、日本一を喜んだ。関本氏は「DeNAはこのプレーオフで選手が成長し、大きな自信がつくはず。これまではもうひとつ殻を破れなかったが、来季はペナントレースでも違う戦いを見せるのではないか」と、チームの変化に期待した。