門別啓人(左)を指導する藤川球児監督(カメラ・谷口 健二)

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 阪神・藤川球児新監督(44)が1日、高知・安芸での秋季キャンプをスタートさせた。球児流の練習法や金の卵へのスタンス、選手をねぎらう高級マグロ約300人前の“兵糧”まで…。阪神担当キャップの小松真也記者が、地元のヒーローのがい旋初日を「見た」。

 終日の雨で練習メニューも限られたが、藤川監督は晴れやかだった。「選手たちが非常に活気があふれていた。こんな天気でしたけど、笑顔もありながら、そのなかで追い込んでいる姿を見ることができた」。今キャンプのテーマは「没頭」。やる気が感じられない選手の強制帰阪すら行う17日間の初日を納得顔で終えた。

 随所に球児カラーが出た。ブルペンの3か所にストライクゾーンの高めと低めが視認できるようにゴムひもを張った。「何を意識して投げるかはすごく大事」。個々に基礎的な助言を送る一方、来季、高卒3年目を迎える門別や茨木には過度なアピールを禁じた。「肩肘は消耗品。(2軍でも)フルに投げた投手は無理をする必要がない」。自身は若かりし頃に度重なるけがに泣いただけに、コンディション管理に人一倍、気を使う。

 グラウンドを離れれば、リラックスを促すのも球児の流儀だ。夕食会場では、地元の協力を得た監督の差し入れが並ぶ。この日は高知県まぐろ船主組合から提供された天然のミナミマグロ20キロ、本マグロ10キロが刺し身でドドン! 赤身から大トロまで、約300人前の大盤振る舞いに若虎たちが舌鼓を打った。今後は名物屋台餃子「安兵衛」をはじめとする高知の名店を食事会場に出店させる異例のプランを描く。球団関係者も「こういうことは初めて。選手のモチベーションにもつながります」と感謝した。

 第1クール中は来季に向けた1軍コーチ陣のミーティングを連日実施し、首脳陣も率先して野球漬けになる。藤川監督は練習前の歓迎セレモニーで「精いっぱい選手たちとともに鍛えて、来シーズンの優勝を奪還できるように」と誓った。オンとオフのメリハリをつけ、実りの秋へ―。その思いがひしひしと伝わってきた一日だった。(小松 真也)