ジョージア州で行われたトランプ氏の集会に参加する男性ら(10月28日)=ロイター

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 米大統領選(11月5日投開票)で、男性が共和党のトランプ前大統領、女性が民主党のハリス副大統領を支持する傾向が目立っている。

 「Z世代」と呼ばれる30歳未満の若者の間で特に鮮明となっている。投票行動の「ジェンダー・ギャップ(男女差)」が両候補の明暗を分けるとの見方も出ている。(米ミシガン州ノバイ 池田慶太)

「再び国導く」

 「トランプ政権でインフレ(物価上昇)は低く、全てがうまくいっていた。彼が再び国を正しく導いてくれると信じている」。激戦州のミシガン州ノバイで10月26日に開かれたトランプ氏の集会に参加した男子大学生、アレクサンダー・フレディンさん(21)は、トランプ氏支持の理由をこう説明した。

 多くのZ世代にとり、青年期の大部分はトランプ政権だった。フレディンさんは「多少の混乱はあった」と認めつつも、「今のバイデン政権よりはマシだ」と振り返った。

 Z世代全体ではハリス氏優勢の世論調査が多いものの、男性に限るとトランプ氏がハリス氏と互角か上回る傾向にある。ニューヨーク・タイムズ紙がミシガンを含む激戦6州で今年8月に行った世論調査では、30歳未満の男性でトランプ氏支持がハリス氏支持を13ポイント上回った。逆に女性はハリス氏支持が38ポイント上回っていた。

 若い男性をひき付けるのは、トランプ氏が持つ「男らしさ」や「強さ」といったイメージのようだ。ノバイの集会に参加した男子大学生のアンソニー・サモナさん(18)は「トランプ氏は少し言葉が過ぎる時があるが、誰にも操られていないところがいい」と語った。ハリス氏については、「物足りない。外国のリーダーになめられるだけだ」と突き放した。

リベラル傾斜

 一方、Z世代の女性たちは、女性が社会で不当な扱いを受け続けているとの反感もあり、人工妊娠中絶の権利擁護などを掲げるハリス氏を支持する人が多いとされる。女性を見下すような発言が目立つトランプ氏への反発は強い。

 政策研究機関「アメリカン・エンタープライズ研究所」のダニエル・コックス氏は、近年広がったセクハラ被害を告発する「Me Too(私も)運動」などへの共感もあり、Z世代の女性たちがよりリベラルな政治的思考に向かっていると分析する。

 ミシガン州カラマズーで10月26日に開かれたハリス氏の集会に参加した女子大学生、モリー・ボルディングさん(22)は、「トランプ氏は女性に対する倫理感が欠如している。私たちが女性の権利を守らなければいけない」と話した。同世代の男性でトランプ氏支持が広がっていることに関して「信じられない」と憤り、「トランプ氏支持の男性とは絶対に交際できない。友人にもいてほしくない」と言い切った。

 トランプ、ハリス両陣営は、二極化が進むZ世代の票を取り込もうと、若者向けのポッドキャストへの出演を重ねるなどして働きかけを強めている。