なんと、端から数字を落としていっても「やっぱり素数」になった…学校では学べない「数学センス」は「身近な例から一般化するクセ」だった

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「数学的なセンス」とはなんでしょうか。

数学の問題を「正確に速く解く」うえで,計算技能に習熟することは大切ですが,「数学センス=計算力」では決してありません。数学的なセンスとは,数学を楽しみ,問いを掘り下げ,「数」や「図形」の世界についてより深く理解するための道筋を自らたどることができる能力です。

〈理系に強い子ども〉に育てたい親御さんが増えていますが,「数学センス」を磨くことがその近道です。そしてそのエッセンスは,じつは「中学数学」に詰まっているのです!

中学3年間で学ぶ重要ポイントを抽出し,教科書では習わない視点でとらえなおす「新しい時代の新しい勉強法」をご紹介する『中学数学で磨く数学センス』から、数学を楽しみ,「数学センス」を磨くためのポイントをご紹介していきましょう。今回は,「素数」の興味深い性質をご紹介します。このような性質に気づけるようになると、数学センスも大いにアップすることでしょう。

*本記事は、『中学数学で磨く数学センス』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。

削っていっても、やっぱり素数

物事の「おおもと」であり,基本構造をなすものを意味する「素」。数学における,あらゆる数のおおもと,基本構造をなす存在が素数である。そんな素数の面白い性質が、意外なところにひそんでいる例をご紹介していこう。

311,317などの素数には,面白い性質がある。

317の右側から順に数を落としていくと31,3となるが,これらすべてが素数なのである。このような数を「素な素数」という。素な素数は有限個であり,次の表のように27個であることがわかっている。

最大の素な素数は73939133である。この数の右に1から9のどの数を加えても,合成数(1以外の数の積で表される数)になる。73939133が素な素数なので,右から1つ数を落とした7393913も素な素数である。上の表「27個の[素な素数]」では,大きい素な素数に含まれる素な素数は含めていない。

また,落とす数を右側ではなく左側にすると,

357686312646216567629137

が最大な数として知られている。

少しだけ定義を変えると「新たな世界」が見えてくる

次に,右から1個ずつではなく,2個ずつ落とすものを考えてみよう。

72701は素数で,右から2つの数を落としていった727,7も素数である。

少し定義を変えると,新たな世界が見えてくるのが数の面白いところである。

*数学センスを磨くポイント*

n桁の素な素数が存在しないとn+1桁の素な素数は存在しないので, 素な素数は有限個のみしか存在しない。具体例から一般化する思考のクセを身につけよう。

*      *      *

身近にはさまざまな数字があふれている。次は、月日に注目して、素数を考えてみよう。

3月3日を「303」,4月3日を「403」,11月14日を「1114」のように見立てると,どの日が素数になるだろうか?

たとえば、3月の日にちを上記のような見立てで表すと、次のようになる。

3月……素数はどの日で、何日ある?

301  302  303  304  305  306  307

308  309  310  311  312  313  314

315  316  317  318  319  320  321

322  323  324  325  326  327  328

329  330  331

このうち、素数はいくつあるだろうか?

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