「ノーヒットに抑えることは無理」けがから復帰のDeNA・東、毎回の2ケタ被安打で勝利は日本S初
◆SMBC日本シリーズ2024第3戦 ソフトバンク1―4DeNA(29日・みずほペイペイドーム福岡)
「SMBC 日本シリーズ2024」第3戦はみずほペイペイで行われ、DeNA(セ・リーグ3位)がソフトバンク(パ・リーグ1位)に4―1で今シリーズ初勝利を挙げ、対戦成績を1勝2敗とした。左太もも裏肉離れから復帰した先発の東克樹投手(28)が7回10安打1失点の熱投。毎回の2ケタ被安打で勝利投手になったのはシリーズ初だ。打線は同点の5回に桑原将志外野手(31)が決勝ソロを放つなど援護。ソフトバンクの日本Sでの連勝は、14でストップした。
エースの熱投がパ王者の3連勝に待ったをかけた。3―1の7回2死一塁。東は栗原を二ゴロに抑えると、拳を握った。毎回の10安打と超強力打線に打ち込まれたが、初の日本Sで粘りに粘って7回1失点。毎回の2ケタ被安打で勝利投手となったのはシリーズ初だ。「ノーヒットに抑えることは無理だと思ってマウンドに上がっていた。走者を出しながらでも抑える自分らしい投球ができた」とうなずいた。
集中力を高めた。6回1死一塁。今宮の打席で左腕は球審に指笛応援をやめるよう訴えた。投球モーションに入り、投球する瞬間にわざと鳴らしていたと感じたからだった。「繊細すぎるかもしれないけど、僕たちはこれが仕事で人生をかけてやっている。1球1球が勝負の世界でやっているので」。その後2死一、三塁とピンチを招いたが無失点で切り抜け、エースの意地を見せつけた。
驚異の回復力だ。12日に阪神と行ったCS第1S初戦で打席の走塁中に左太もも裏の肉離れを発症。最終Sでの登板はできなくなったが、三浦大輔監督からは「最後まで一緒に戦おう」と声をかけられ1軍に同行しながら、第3戦を見据えて調整した。万全とはいえない中、軸の左足の負担を軽くするため、あえてクイックで投球。“突貫工事”で負けられない一戦をものにした
勇気をもらった。9月に右尺骨骨折で離脱した相棒の山本が28日に全体練習に合流した。福岡は23年の3月19日のオープン戦でバッテリーを組み、6回3安打無失点で開幕ローテ入りを決めた思い出の地。「懐かしいね」と会話を交わした。バッテリー復活はならなかったが「特別な1勝になったかな」と試合をベンチ外から見守った相棒に勝利をささげた。
待望の白星で王手を阻止。三浦監督は「積み重ねですからね。1つ目がないと2つ目がない。また明日の試合に集中して、全員が出し切る準備をしていきます」と先を見据えた。もう一つ勝てば本拠ハマスタ帰還が決まる。リーグ3位からの下克上へ反撃開始だ。(内藤 菜月)
◆記録メモ
DeNAは2連敗のあと勝利し、1勝2敗とした。2連敗のあと1勝したのは、1引き分けを挟んで2連敗だった22年オリックス以来20度目。過去19度のうち優勝に結びつけたのは7度のV確率37%と依然、不利な状況だ。本拠地スタートで2連敗したあとに初勝利したケースは、80年広島、82年中日、85、93年西武、00年巨人、11年ソフトバンクに次いで7度目。過去6度のうち、広島、巨人、ソフトバンクはVと、V率50%と、半分が巻き返している。