シンデレラがスパダリ? ツッコまずにはいられない唯一無二なハイテンション童話
お姫様であるシンデレラが、まさかのスパダリ≒最強の彼氏!? 声を奪われたのは人魚姫ではなく人魚王子。しかも彼が惚れた姫は超ギャルで!?
我々がよく知る様々な童話を、ユニークで斬新な視点から大胆にアレンジ。短編集『うちのシンデレラがスパダリすぎる どうしてこうなった童話集』(伊達しのぶ/KADOKAWA)は、まさにツッコミどころ満載の一冊だ。
「シンデレラ」に「三匹の子豚」、「人魚姫」や「ヘンゼルとグレーテル」…。
大人も子どももよく知るこれらの童話だが、本作の展開は従来我々が知るストーリーとはひと味もふた味も違う。
「もしもこの物語がこうだったら…」という発想のもとにすべての童話がアレンジされており、その内容もどこか非常に現代的だ。読んだら最後、思わず「そんなことある!?」とツッコまずにはいられない。そんな独特なお話がたくさん集められている。
作品の最たる魅力は、非常に斬新かつ前衛的な童話のアレンジだろう。
登場人物や物語序盤のあらすじこそ既視感のあるものが大半だ。しかし途中からは一歩道を踏み間違えるどころか、まるで時空を超えたパラレルワールドのようなストーリーが展開されていく。
「シンデレラ」のその後のストーリーを夢想したことは多いだろうが、シンデレラ自身の性格がスパダリになったら、という“もしも”を考えた人は、おそらく今までどこにも存在しなかったはずだ。
同様に、狼に家を破壊された豚の兄弟の大半がカタギじゃなかったり、「人魚姫」のメインふたりの性別が逆転し、なおかつ魔女を巻き込んだ三角関係の物語が始まったり。
そんな前代未聞の“もしも”がたっぷり詰まった、世界中どこを探しても他にないであろう個性的なアレンジ童話が楽しめる。
SNSでも大きく話題になったことから、もしかしたらどれか一話だけでも見たことがあるかもしれない。そんな人も、あるいはまだ一度もこのお話に触れたことのない人も。本作の唯一無二なハイテンションさと濃厚なユーモアをぜひ直に体験してほしい。
文=ネゴト / 曽我美なつめ