橋下徹「実行力のない政権よりはマシ」…じつは自民党は野党の政策を「丸パクリ」、それでも「圧倒的支持率」を維持し続けるワケ

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10月27日の総選挙で、日本人は自民党に「ある程度のお仕置き」をするだろうが、政権交代には至らないだろう。

なぜ、政治とカネであれほどの不信を生んだ自民党が、政権の座から転がり落ちることがないのか。

その理由を、もっともリアルに、もっともロジカルに、もっともドラスティックに解説するのが、維新の創始者・橋下徹氏だ。

選挙が近づくいま、橋下氏の『政権変容論』(講談社刊)を野党と国民が理解して受け入れたら、この国は確実に「良い方向」に変容するだろう。

『政権変容論』連載第49回

※この記事は選挙公示前(2024年7月19日)に発売された本からの転載です。

『イギリスは「スト頻発」により大混乱、アメリカは「社会が分裂」…橋下徹が語る「二大政党制」の「光と影」』より続く

そもそも自民党は「保守」なのか?

そもそも「自民党=保守」、「立憲民主党=リベラル」という構図も、今やどれほどのリアリティをもって国民に受け止められているか、はなはだ疑問です。

昨今は若年層が保守化しているという説があります。実際に自民党に票を投じる若者も多い。だけど、彼らは「自民=保守政党」と体感して票を投じているのでしょうか。

少し前になりますが、17年に読売新聞と早稲田大学現代政治経済研究所が行った調査があります。それによれば、40代以下の世代は自民党と日本維新の会を「リベラルな政党」だと見なし、共産党や公明党を「保守的な政党」だと捉える傾向が強かったんです。

たしかに、自民党はここ数年、憲法改正や観光立国を目指すなど、革新的な政策を打ち出しています。そうした改革を厭わない姿勢がリベラルに映り、一方、改革に反対する党は、現状維持を是とする保守的な党、と見られているのでしょう。

勝ちに貪欲な自民党

実際に安倍政権は、「教育の無償化」や「働き方改革」の看板の下に、「残業規制」や「同一労働同一賃金」など、本来リベラル政党が掲げる政策をどんどん実行していきました。こうした姿勢は、バリバリの「保守」と呼べるのか。

ある意味、自民党は非常にしたたかです。圧倒的長期間を政権与党として君臨してきたわけですが、わずか数年ばかり野党に下った経験から、自分たちに足りなかったことをどんどん吸収して学んできた。自分たちが選挙に負けたショックから早々と立ち直り、民主党にあって自分たちにないものは何かを、貪欲に学んでいきました。

そして再び与党に返り咲いたときに、民主党が公約に掲げて人気の高かったリベラルな政策を、シレッと自分たちの政策に取り込んだ。あたかも自分たちのアイデアであるかのように実現してみせたのです。

正直、国民としては、どちらが最初のアイデアマンかなどどうでもいい。むしろ発案だけして実行できない政権より、他人のアイデアでも良いものを取り入れて実現してみせる実行力のほうを評価します。

『「ポピュリズム上等」…「トランプは愚かだ」と決めつける「知ったかぶり」エリート層を橋下徹が大批判!』へ続く

「ポピュリズム上等」…「トランプは愚かだ」と決めつける「知ったかぶり」エリート層を橋下徹が大批判!