(※写真はイメージです/PIXTA)

写真拡大 (全3枚)

「マンションに永住する」と考えている人が増加傾向にあります。本記事では、国土交通省『マンション総合調査 2023年度版』よって明らかになった、費用面の問題やご近所トラブルの実態について見ていきます。

永住意識高まるも、隣人トラブルは増え…

国土交通省の『マンション総合調査 2023年度版』によると、マンションへの永住意識は年々上昇傾向にあり、60.4%となった。

永住意識 国土交通省の「マンション総合調査 2023年度版」

マンション購入の際に考慮した項目は、「駅からの距離など交通利便性」が71.6%と最も多く、「間取り」が61.4%、「日常の買い物環境」が53.5%など、生活環境に関する項目を重視している人が多い。しかし、管理運営に関する項目はあまり意識されておらず、「共用部分の維持管理状況」を考慮した人は12.0%という結果になった。

マンションに購入する際に考えておきたいことに、マンションの修繕費と隣人問題がある。2023年度の時点で、マンションの長期修繕計画を立てている管理組合の割合は88.4%とほとんどの管理組合で計画され、そのなかでも、修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は59.8%と半数を超えた。

月/戸当たりの修繕積立金の額、駐車場使用料などからの充当額を含む修繕積立金の総額ともに増加しており、2018年から2023年の5年間でどちらも1,000円以上増加している。修繕積立金の積立方式は、均等積立方式が40.5%、段階増額積立方式が47.1%で、完成年次の新しいマンションほど段階増額積立方式となっている割合が多い傾向にある。

月/戸当たり修繕積立金の額 国土交通省の「マンション総合調査 2023年度版」

修繕計画よりも積立額が不足しているマンションが36.6%あることを背景に、修繕積立金額は増加となった。「修繕金が計画よりも20%以上不足している」マンションは全体の11.7%を占めている。

トラブルの発生状況を見ていくと、ここ5年で何らかのトラブルを抱えるマンションが増えている。「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」が最も多く、60.5%となった。

マンショントラブルで最多も、対応が難しい生活音

「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」のうち、数を伸ばしたトラブルは「生活音」である。2018年の「38.0%」から2023年には「43.6%」となった。コロナ禍を経てリモートワークが増えたことや、外国人居住者の増加などが原因として考えられる。

マンションのトラブル処理方法は、ほとんどが、管理組合での話し合いか、管理業者への連絡、当事者同士の話し合いとなっているが、マンションの管理業者は苦情が届けられても対処が難しいことがある。

“基本的に、音がひどい、飼っている動物の匂いがひどい等の迷惑行為に対しては、被害を受けている隣人本人が、加害者に対し賠償請求をすることになります。

ただ、「受忍限度論」に気をつけてください。ある程度の騒音や匂いは生活から当然発生するので、受忍限度を超えるものだけが違法となるという理論です。

この受任限度を超えるかどうかは、侵害行為の態様、侵害の程度、被侵害利益の性質と内容、侵害行為の持つ公共性ないし公益上の必要性、侵害行為の継続の経過及び具体的状況、被害防止措置の有無とその内容、効果等の諸般の事情を総合的に考慮して決定されます。”(ゴールドオンライン掲載記事『「毎日うるせえぞ!」騒音嫌がらせ男…唖然の近所トラブル勃発【弁護士が解説】』より)

生活のなかで生まれるさまざまな音の感じ方は人によって違う。「これぐらい大丈夫だ」と考えても、他の住人にはストレスということもある。近隣住民との付き合いも含めて快適に暮らすためには、防音を意識してみてはいかがだろうか。