いまや100万円以下の物件も…バブル期の「リゾートマンション」、安くても実は定住目的で「買ってはいけない」ワケ

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ゴースト化するリゾートマンション

リゾートマンションの黎明期は1960年代から始まったとされています。高度経済成長期のまっただなか、日本人は長労働時間を知った諸外国から「働きバチ」と皮肉くられていた時代です。

こうした背景もあり、バブル経済の1980年代に入ると日本の法定労働時間が段階的に引き下げられ、「これからは、レジャーの時代だ!」と大手デベロッパーがリゾートマンション事業に参入。日本各地に多くのリゾートマンションが雨後の竹の子のように建設されました。

しかしバブル崩壊後は、デベロッパーの事業縮小や倒産により、リゾート施設そのものが閉鎖に追い込まれる事態に陥ります。周辺の商業施設、居酒屋、レストランなどの飲食店も閉店して廃墟と化し、そこから約40年、現在は人間より猿の方が多く目につく場所もあります。

ブームが去り、築年数が経過した中古のリゾートマンションは、現在、国産の新車と同じくらい価格の200万円から400万円で販売されています。

なかには100万円以下で購入できるリゾートマンションもあり、田舎暮らしに憧れる人や高齢で賃貸物件を借りられない人など、老若男女を問わず定住目的で購入することも多く目につくようになってきました。

リモートワークの定着により、地方に定住しながら都市の企業に勤めることも可能になったことから、若い独身者の購入も増えていると地元の不動産業者は話していました。

しかしこういった物件のなかには、所有者が管理費や修繕積立金を滞納したまま売却していたり、競売物件や“訳あり物件“も含まれており、購入後に管理費や修繕積立金の滞納分を遅延損害も含めての負担を強いられるため、逆に高くついてしまう場合もあります。

温泉などの共用施設が多いリゾートマンションは、一見、ゆったりと暮らせそうなイメージがありますが、温泉施設や大浴場があれば入湯税と保健衛生上必要な費用、プールやテニスコートなどがあれば、設備管理、清掃費やメンテナンス費用などの継続維持する費用がかさむため、一般のマンションに比べて管理費や修繕積立金が高く設定されています。

加えて、別荘として作られているため定住が認められない物件は非住居となるので、固定資産税額も一般の物件よりも高くなります。

さらにお金以外の最大の問題点は、そもそも別荘として使う所有者と定住者とでは、リゾートマンションに求めるものに大きな違いがあり、一方は「日常から離れてゆっくり過ごす場所」として、もう一方は「生活する場所」として同じマンションを使っているので、双方に乖離が生まれやすくなっていることです。

そのためいさかいが絶えず、それが管理組合運営にも影響して、建物と設備の不具合が発生しているという相談がよせられています。先日も群馬県にある築40年のリゾートマンションの管理組合から相談を持ち掛けられ、実際に現地へ向かいました。

…その詳細は続きの<「別荘使用」と「定住目的」それぞれの言い分に翻弄…いま「リゾートマンション」で起こっている、新たなトラブル>でお伝えします。

「別荘使用」と「定住目的」それぞれの言い分に翻弄…いま「リゾートマンション」で起こっている、新たなトラブル