国情院の関係者は「人工知能(AI)顔認識技術を適用して分析した結果、この人物は昨年8月に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が戦術ミサイル生産工場を訪問した際、金正恩委員長に随行した軍のミサイル技術者の顔と80%一致することがわかった」とし「これは分析上、同一人物という意味」と説明した。

国情院はウクライナ戦線に投入された北朝鮮軍のミサイル技術者らが北朝鮮製ミサイル発射を支援していて、これを通じて技術的な問題点を確認し、追加の技術確保を意図しているとみている。これは北朝鮮がウクライナ戦線で南側を狙った武器の「実戦テスト」を行っているという意味にもなる。

朝ロは6月に締結した「包括的戦略パートナーシップ条約」の批准手続きを踏むという。この条約は双方のどちらか一方が武力侵攻を受けて戦争状態に直面すれば、他方が国連憲章第51条と北朝鮮・ロシア法に基づき遅滞なく軍事援助を提供するという内容を含んでいる。ロシアのプーチン大統領は14日、朝ロ条約の効力を発生させるためこの法案を下院に提出した。北朝鮮軍のロシア派兵のための法的手続きを用意するものと解釈される。この条約によると、韓半島で戦争が勃発する場合、ロシアの自動介入が予想される。金正恩国務委員長がロシア派兵を決定したのもこうした状況に備えた安全装置を確保するためと考えられる。

今回の国情院の発表は、政府が「北朝鮮のウクライナ戦争参戦」を公式化したということに意味がある。今後、ウクライナに直接的な軍事支援をしている米国と北大西洋条約機構(NATO)加盟国との連携を拡大し、朝ロに圧力を加える可能性があるという意味でもある。朝ロに追加制裁を断行する可能性も高まった。

統一研究院のヒョン・スンス副院長は「韓国政府は対ロシア制裁の一環として外交官追放や両国民間人交流の制限など多様なレベルの独自制裁手段を検討するとみられる」と話した。

政府は制裁と同時にロシアが極度に敏感に反応する「殺傷武器支援の検討」もテーブルに載せるという立場だ。戦争が始まって以降、ウクライナ政府は繰り返し韓国政府に対し、対空防御武器のパトリオットのほか砲弾などの支援を要求してきた。韓国がウクライナに本格的に武器支援をする場合、「防御用武器→攻撃用武器」と支援の程度を高めていく可能性がある。

ただ、こうした武器支援決定は政府が可能な限り「最後のカード」として慎重に接近すると予想される。梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)北朝鮮学科教授は「韓国政府はウクライナに対する殺傷武器支援決定の『レッドライン』について、ロシアの北に対する核・ミサイル関連核心技術移転だと明らかにしてきた」とし「北の軍の派兵がこの基準に該当するかは綿密な検討が必要だ」と述べた。