「男性不妊症」の治療法はご存じですか? 原因別の治療を専門医が解説

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男性不妊症と一口に言っても、原因によって治療法は異なるそうです。日帰り手術もあれば、注射や内服薬での治療もあると言います。銀座リプロ外科の永尾光一先生に詳しく教えてもらいました。

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監修医師:
永尾 光一(銀座リプロ外科)

昭和大学にて形成外科学を8年間専攻した後、東邦大学で泌尿器科学を専攻し、形成外科・泌尿器科両方の診療科部長を経験する。2009年より東邦大学医学部教授、2010年より東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター長となる。得意分野はマイクロサージャリーをはじめとする生殖医学領域の形成外科的手術。日本泌尿器科学会専門医、日本生殖医学会専門医のほかに、日本形成外科学会専門医も取得しており、泌尿器科医の枠を超えた細やかな手術手技と丁寧な診察で、様々な悩みを抱える患者さんから高い信頼と評価を得ている。

編集部

「男性不妊症」と診断された場合、どうしたら良いのでしょうか

永尾先生

原因によって、必要とされる治療をしていきます。例えば、男性不妊症の原因の約30~40%を占めると言われている「精索静脈瘤」が見つかった場合などは、手術治療が選択されます。

編集部

手術が必要なのですね。

永尾先生

そうですね。「精索静脈瘤」は、精索部や陰嚢に血液がうっ血する病気で、投薬による治療ができないのです。ただし、手術といっても当院では1時間ほどで終了する術式を選択することが可能です。半日もかからない日帰り手術を行うことができる、痛みも極めて少ない治療です。

編集部

ほかにはどのような原因別の治療法があるのですか?

永尾先生

例えば、先ほどの「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症」というのは、要は「下垂体ホルモンの低下」により「精そう」の機能が低下して、精子が作られなくなっているケースなので、ホルモン注射で治療が可能です。「性機能障害(ED)」に対しては、内服薬で治療を行っていきます。また、過去にパイプカット手術を受けた方で、再建などで再度出産を望まれる場合には「パイプカット再建術(精管結紮術)」という手術もあります。

編集部

最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあればお願いします。

永尾先生

不妊治療は「女性がするもの」という認識の方も多いと思いますが、先述の通り「男性側に原因がある」「両方に原因がある」というケースも決して珍しくありません。「パートナーが不妊治療をしているのに、結果が出ない」「顕微授精でうまくいかない」という方は、先ほどのセルフチェックを試してみましょう。生殖専門医(泌尿器科)が作成したチェックリストであり、医学的根拠の高いものがチェック項目となっています。結果に不安・懸念を抱いた方には、何らかの治療可能な原因があるかもしれませんので、お近くの生殖専門医(泌尿器科)に相談してみてください。

※この記事はMedical DOCにて【「男性不妊症」の検査やセルフチェック法とは? 不妊の原因も専門医が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。