「パニック発作」のきっかけ、不快な感覚を気にしないコツは?

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パニック症は、パニック発作をくり返す病気です。パニック発作は、身体的な原因はないにもかかわらず、さまざまな不快な症状が突然生じるもの。パニック症の本質は、「このまま死ぬかもしれない」という強い恐怖感・不安感にあります。恐怖や不安は、危険を避けて生き延びていくために必要なものですが、行きすぎれば生活に支障をきたします。発作を避けようとしてどんどん「できないこと」が増えていけば、自己否定感が強まり、うつ状態に陥ることもあります。そんな「パニック症」の最新情報や、正しい理解のための本『名医が答える! パニック症 治療大全』より一部抜粋してお届けします。

不快な感覚を気にしないコツは?

パニック発作が起こりそうなとき、「不快な感覚は気にせず呼吸に集中しよう」「ネガティブなことは考えず、ポジティブなことを考えよう」などと考え、実行しているという人もいるでしょう。

それでうまく乗り切れればよいのですが、なかなかそうはいかないのがパニック症です。不快な身体感覚や不安・恐怖は、「感じないようにしよう」とすればするほど、強く、大きくなっていくことが多いのです。

パニック発作は、気がかりな身体感覚に注意が集中することで不安が高まり、さらに症状が大きくなるという悪循環によって大きくなっていきます。この悪循環を断ち切るためには、3つの方法が考えられます。

・別のものに注意を向ける安全確保行動はこのタイプ。いつもの決まった行動をすることに注意が向くため、結果的に身体感覚に注意が集中しなくなります。ただし、この方法だけでは発作への予期不安はなかなか消えません。

・あえて何度も体験して慣らす不快な感覚、苦手な状況をあえて何度も体験することで生じる慣れは、不安を小さくするのに有効です。パニック症に対する認知行動療法としておこなわれるエクスポージャー療法はこのタイプです。

・注意を分散させる気がかりな身体感覚は、体の内部から発せられる情報です。しかし、身のまわりには、たくさんの情報があふれています。不快なものも快適なものも分け隔てなく、あらゆる感覚・感情・思考に注意を向けることで、結果的に、不快な感覚・思考のみに注意が集中することはなくなります。

「外の世界」への気づきを大切にする

「今・ここ」の感覚、考えのすべてに注意を向けている状態を「マインドフルネス」と呼びます。その境地に至るには、「外の世界」への気づきが必要です。苦しいこと、いやなことから目をそらすのではなく、むしろ積極的に観察すること、あわせて自分の外の世界にも目を向け、気づくことが、発作への不安を結果的に小さくしていきます。

あらゆることに注意を向け、さまざまな出来事を感じられるマインドフルな状態を目指すことが、発作の恐怖を乗り越える力になります。

続きは<「パニック症」を起こす不快な感覚を、どう分散すべき? 「注意のコントロール術」は練習で鍛えられる>で公開中。

「パニック症」を起こす不快な感覚を、どう分散すべき? 「注意のコントロール術」は練習で鍛えられる