エムスリー総合研究所(M3総研)は10月3日、子宮頸がんワクチンの接種状況に関する調査結果を発表した。

○子宮頸がん/子宮頸がんワクチンとは

子宮頸がんは毎年1.1万人の女性がかかる病気で、年間2,900人の方が亡くなる極めて身近な病気。これは交通事故と同程度の死亡者数であり、25歳〜40歳女性のがんによる死亡原因の第2位となっている。しかし、子宮頸がんワクチンを接種することで80〜90%の予防が可能とされており、現在12〜16歳は厚生労働省による定期接種制度、17〜27歳はキャッチアップ接種制度により全額公費負担の対象となっている。

○約320万人が未接種

ワクチンの定期接種の対象年齢の間に接種を逃した人を対象に、公費で子宮頸がんワクチンを接種することができるキャッチアップ接種は、2025年3月に終了を予定している。合計で3回の接種が必要となるため、公費負担での接種については、標準的な接種間隔の場合は9月末が初回接種の実質的な期限とされていた。

しかし、キャッチアップ接種の初回接種期限目前であった2024年8月末時点でも、17〜24歳の接種率は約35%と低い水準にとどまり、対象年齢全体の未接種者数約320万人というデータが明らかになった。子宮頸がんワクチンの有効性は高いとされており、1万人が接種を受けると、約20人の命が助かると試算されているため、このままでは約6,400人の命が失われてしまう可能性があるという試算になる。

HPVワクチンの8月末時点キャッチアップ接種率

○医師は約9割が親族に接種意向

M3総研が子宮頸がんワクチン接種対象施設所属で「キャッチアップ接種制度」を知っていると回答した医師114名に独自にアンケートを取ったところ、キャッチアップ接種世代の家族・親族がいる場合、90%以上が接種済みまたは接種予定ありと回答した。

医師は約9割が親族に接種意向

○11月末までの「短縮接種」について

キャッチアップ接種では、2025年3月までの接種を公費負担としているため、標準的な接種間隔の場合は9月末が初回接種の期限だった。しかし、標準より短い接種間隔で接種する「短縮接種」であれば11月28日まで初回接種を開始することで2025年3月までに3回接種を終えることが可能となる。9月24日には、厚生労働省から各自治体に対しても当該接種が公費負担(個人の負担なくワクチン接種が可能)であることと、短縮接種時のスケジュールが周知された。

短縮接種