第102代総理大臣に選出された石破茂氏(写真・JMPA)

「全身全霊をささげ、日本と日本の未来を守り抜く。政治資金問題で失われた政治への信頼を取り戻し、納得と共感をいただきながら安全安心で豊かな日本を再構築する」

 10月4日、衆参両院で初めての所信表明演説をおこなった石破茂首相は、議場に厳しい視線を送りながらこう語った。しかしその声は「約束を守れ!」「真実を語れ!」など野党からのヤジにかき消され、聞き取ることすら難しい有様だった。

「まれに見るヤジと怒号でしたね。『解散の前倒し』『与野党の論戦軽視』『裏金議員の公認問題』など、就任して間もないにもかかわらず『前言撤回』が目立つ石破首相だから仕方ないのでしょうが、自民党にはヤジ以上に厳しい衆院選挙戦が待ち受けています」(政治担当記者)

 その選挙のキャッチフレーズにもなる、「日本を守る。成長を力に。」の文字が入った、自民党の新しいポスターが所信表明と同じ日にお披露目された。

 自民党ホームページには、「石破総裁は岸田政権で進めてきた成長戦略を着実に引き継ぎ、物価高を上回る賃金の上昇でデフレ脱却を実現する決意を示しています。キャッチコピーにはこうした石破総裁の思いを込めました」とある。さらに、このポスターの写真、構図についても、「正面を見据えた力強い石破総裁の表情からもそうした決意が満ちあふれています」とまで説明されている。しかし、この「力強い石破総裁の表情」が、今物議を醸している。

 平井卓也自民党広報本部長によると、「(石破総裁は)睡眠不足で撮影したわりには、いい表情のポスターが撮れたと喜んでいた」そうだが……。ポスターを見た国民が抱いた印象は少し違っているようだ。Xにはツッコミが殺到している。

《石破ポスターひょっとしてAI生成してないか?》

《石破、美容整形した宮迫みたいな不自然さだな》

自民党の石破ポスター、毒気抜きすぎてキモい》

プリクラ並みに修正され、しかも嘘盛りすぎ》

《石破が修正し過ぎて別人です》

 確かに首相官邸のひな壇で全閣僚と記念撮影に臨んだときの「ポカン顔」とは違って表情は凛々しく、目もぱっちりしている。髪の毛も気のせいか、ちょっとフサフサだ。これは、「寝不足にしてはいい表情」というレベルではない気が……。永田町関係者は、“違和感ポスター”についてこう話す。

「デジタル時代の今、写真の加工は容易にできるため、選挙ポスターで顔のシミやシワを取るのは普通のことです。

 かつて、選挙用ポスターの写真が初当選時ものからずっと変わっていないベテラン議員もいたため、国会では『ポスターなどに20年近く前の写真を使用している場合がある。これは有権者に虚偽の事項を示したことになり法律違反にならないか』と質問が出たこともありました。そのため最近は常識の範囲内で加工しているようです」

 公約も写真も、「嘘つき」だけはご勘弁を願いたい。