6回1死、ロッテ・岡を空振り三振に仕留めほえる大津(撮影・穴井友梨)

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 ◆ソフトバンク1―0ロッテ(4日、みずほペイペイドーム)

 ソフトバンクがレギュラーシーズンを5連勝、しかも緊迫した「1―0」で締めくくった。16日からのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージを見据えても価値ある1勝だ。

 そのCSで首脳陣に「使いたい」と思わせたに違いない。先発の大津だ。3カ月以上も白星から見放され、苦しかったはず。それでも小久保監督の新人監督最多勝利の更新が懸かった試合で完璧な投球を見せた。

 多彩な球種を操れる投手が原点に返ったかのように真っすぐで押した。生命線の真っすぐが走ったからこそ、チェンジアップが効いた。6回の対戦で好打者の岡に全3球続けて、バットに空を切らせたのにはうならされた。直後に栗原の一発が飛び出し、勝ち投手になった。これも良かった。自力で勝敗を7勝7敗の五分にしたのと同時に、一番欲しかった「自信」も取り戻せたのではないか。CSの先発候補に堂々と名乗り出た。

 真剣勝負の場から、これから10日間以上遠ざかる。そういう意味でも、緊張感のある試合を本拠地でやれたのは意義がある。ファイナルステージの相手は日本ハム、ロッテのどちらが来ても楽な試合にはならない。形の上では2位以下に10ゲーム以上の大差をつける独走優勝でも、大勝続きで91個の白星を積み重ねてきたわけではない。この日のように投手力を中心に接戦をものにしながら、大切にシーズンを戦い抜いてきた。91個目の勝利も、次なる戦いへの「戒め」として体にしっかりと刻み込んだことだろう。

 所々で笑いを挟みながらも、勲章でもあるタイトルホルダーをたたえ、選手たちの労をねぎらい、最後に大観衆の前で日本一への誓いを立てた小久保監督のスピーチは美しく、力強かった。相手チーム、選手へのリスペクトも欠かさなかった。誰もリーグ覇者では満足していない。今季のスローガンの「美破」のごとくポストシーズンを制し、最大かつ最高のタイトルを奪還してほしい。(西日本スポーツ評論家)