株式売却が検討されるイトーヨーカ堂の店舗(4日午後、東京都江東区で)

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 セブン&アイ・ホールディングス(HD)が、傘下のイトーヨーカ堂などスーパー事業の株式売却を検討していることが4日わかった。

 海外ファンドなどが売却先候補に挙がっており、経営権を外部に委ねることも視野に入れている。カナダのコンビニ大手から買収提案を受ける中、不振事業の売却を急ぎ、企業価値を高める狙いがある。

 セブンは当初、スーパー事業について、2027年以降の株式上場を目指す方針を打ち出していた。関係者によると、ファンドなどに売却後もセブンが一定の株式を保有し、持ち分法適用会社として経営への関与は続けたい考えだ。

 祖業のイトーヨーカ堂は食料品から雑貨まで幅広く扱う総合スーパー。近年は店舗の老朽化や専門店などとの競合で客足が遠のき、苦戦を強いられている。24年2月期は259億円の最終赤字で、4期連続の赤字決算となった。

 一方、親会社のセブンは8月にカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたことが判明。提案に反対したものの「企業価値を高める姿勢を示し続ける必要がある」(セブン&アイ幹部)ことから、スーパー事業の売却に傾いたとみられる。

 ただ市場では「これまでスーパー事業に十分な投資がされず、売却先が見つかるかは不透明だ」(アナリスト)との指摘もある。