新タイプ「レプリコン」ワクチンめぐり混乱 安全性確認できないと入店制限する動きも…厚労相「科学的知見ない」

写真拡大

10月1日から新型コロナワクチンの定期接種がスタートしたが、新しいタイプのワクチンをめぐり混乱が起きている。
安全性が確認できないなどとして、入店を制限する動きが広がっている。

こうした中、厚労相が4日、あらためて安全性を訴えた。

「レプリコンワクチンは入店お断り」

10月に入り、検索サイト上で拡散したある“ワード”。

それは「自己増幅型ワクチン接種者の入店禁止」、「レプリコンワクチンは入店お断り」 。

このレプリコンワクチンとは、「Meiji Seika ファルマ」が開発し、9月に承認されたばかりの新しいワクチン。
mRNA(メッセンジャーRNA)が体内で複製され増える、“自己増幅型mRNAワクチン”で、「次世代型ワクチン」とも呼ばれている。

従来のワクチンよりも、少量でより強い免疫反応を得ることができるとされている。

1日から始まった新型コロナワクチンの定期接種を行っている「いとう王子神谷内科外科クリニック」を訪ねると、看護師が予約電話の対応をしていた。

看護師は「コロナワクチンのレプリコン、コスタイベの方の接種ご希望ということの予約で大丈夫ですね?」、「コロナワクチンで、コスタイベでレプリコンの接種をご希望ということで…」と電話対応していた。

ここ数日でレプリコンワクチンを希望する人が増えたが、実際に接種するのは早くても10月末になるという。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
1瓶に16人分入っていて、ひとたび開けたら6時間以内にそれを打たないといけないっていうものなんですよね。6時間以内に16人打ち切るという、その予約を取ること自体が非常に難しい。一方で、やっぱり電話の問い合わせや希望の方の予約の申し込みというのが日増しに増えているというのが実際ですね。

日本看護倫理学会が緊急声明「接種者から感染の懸念」

一方、このワクチンをめぐり、日本看護倫理学会は緊急声明を発表した。
そこには、「レプリコンワクチン自体が接種者から非接種者に感染するのではないかとの懸念が あります」とあった。

こうした発表を受けて、女性に人気のフィットネス「LAVA」は、ウェブサイトに「レプリコンワクチンの接種をされたお客様におかれましては入店をお控えいただきますようお願い申し上げます」と記載している。

美容院の検索サイトでも、レプリコンワクチン接種者の入店禁止措置を表示する店が多数あった。
実際に店舗でレプリコンワクチンに関する注意喚起を行っている美容院の店主は、その理由について…、

説明を掲示している美容院の店主:
一番怖いのは、やっぱり人にうつる。ちっちゃいお子様も、80を超える90近いお客様もいらっしゃいますので、持病がある方がすごく多いので、「あそこでうつされた」っていう評判が広がるのも嫌なので。

また不安の理由として、このレプリコンワクチンが世界初承認で、日本以外ではまだ承認されていないことなどを挙げた。

札幌大谷学園も、レプリコンワクチンが“今までのワクチンとはまったく異なるもの”であるとして懸念を表明するなど、学校にまで波紋が広がっている。

厚労相「科学的知見ない」、専門家「科学的エビデンスない」

今回、定期接種に使われるワクチンは、5種類。

ファイザーやモデルナなど、従来のmRNAワクチンは、体内にウイルスのタンパク質を作ることで抗体や免疫を獲得し、その後タンパク質は消滅し、抗体も減少していく。

一方、レプリコンワクチンは自己増幅型で、ウイルスのタンパク質を体内で作り続けるため、 ワクチンの効果を比較的長く持続させることができるのが特徴だ。

ワクチンを接種した人から接種していない人へ感染するのではないかという不安について、霊長類医科学研究センターの保富康宏センター長は、「“感染”という言葉が正しいかどうか別ですけれども、基本的な科学的エビデンスはまったくないんですね。例えば狂犬病のレプリコンのRNAワクチンをオオカミに1頭打っとけば、それが山に帰ったら山の群れが全部狂犬病ワクチンを打ったオオカミになりますというような、そんな夢のような話ではないですから」と、ワクチンが感染するという科学的根拠はないと否定する。

また福岡厚労相も4日、「ワクチン成分が他者に伝播(でんぱ)し、健康被害が生じるという科学的知見はなく、こうした内容について、厚生労働省のホームページで周知を行っているところです」と会見で説明した。
(「イット!」10月4日放送より)