増築された厨房。隣接する蔵や清閑亭の主屋とは異質な現代風の造りとなっている=小田原市南町

 神奈川県小田原市所有の国登録文化財の建物「清閑亭」(同市南町)の民間活用事業を巡り、小田原市の加藤憲一市長は3日の定例会見で「(市政に)混乱を招いたことをおわびしたい」と謝罪した。

 市は清閑亭の活用業者を募集する際、「土地の現状からの変更または保存に影響を及ぼす行為」を禁止していたが、業者選定後に業者からの要望で厨房(ちゅうぼう)の増築を容認。市監査委員は守屋輝彦前市長時代のこうした対応が「裁量権を逸脱、乱用するものとして違法とされる場合もある」と指摘し、再調査を求めていた。

 加藤市長は再調査で市の対応が法的には問題がなかったと結論付けたことを説明する一方、「(制度に対する)職員の知識、理解が不足していた。事務決裁の手続きの不備によって職員間で情報共有ができなかった。市として反省したい」と述べた。市が増築を認めた経緯についての文書記録が残っていなかったことから、公文書の取り扱いに関する手続きの条例化を検討していく考えも示した。