ドラフトの目玉として注目を集める明大・宗山塁

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 東京六大学野球の明大・宗山塁内野手(4年・広陵)が28日にリーグ史上34人目の通算100安打を達成した。10月24日にドラフト会議を控える中、スカウト陣が1位指名は「間違いない」と断言する逸材。これほどまでの評価を受ける理由に迫る。

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 節目の記録達成も通過点だ。もはや、打つ・打たないの次元にはいない。侍ジャパン・井端監督が「打撃も含め鳥谷のよう」と名手と姿を重ねれば、昨年のWBC優勝監督である日本ハム・栗山CBOは「当たり前を当たり前にできる“美しい選手”」と形容。スカウト陣からも絶賛の嵐だ。

 やはり最も注目されるのは守備面だ。ドラフト1位候補にリストアップしている広島の苑田スカウト統括部長は「基本がしっかりしていて今すぐに1軍のレギュラーを狙える」と高く評価。ヤクルト・橿渕スカウトデスクも「球界で1番うまいと言われる西武の源田選手とも勝負できる」とレベルの高さを表現する。

 イレギュラーバウンドにも難なく対応。宗山は「球際でどれだけ力を抜いてグラブの面を向けられるかが重要」と秘けつを明かし「どんなバウンドでも簡単にアウトを取り切るというのが、うまいショートの条件かなと思う」と力を込めた。さらにオリックス・岡崎スカウトは「送球につなげるための捕球がうまい」と言及。準備力の高さに触れ「どのバウンドで入るか、走者の足も加味して捕球のタイミングも変わってくる。臨機応変な守備」と評価した。

 試練も乗り越えた。3月に侍ジャパンのトップチームに招集されたが、2月末のオープン戦で受けた死球による右肩甲骨骨折が判明し欠場。驚異的な回復で春季リーグ戦の開幕に間に合わせたものの、シーズン中のオープン戦では右手中指第一関節を骨折し、その後のリーグ戦は8試合連続欠場に終わった。

 それでも、今秋リーグ戦は万全で挑み、東大との開幕試合で2年秋以来の一発となる先制V弾をマーク。9月29日の慶大2回戦ではリーグ戦通算10号を放った。惜しくもアウトとなった打球でも、今春より力強く捉えた当たりが目立つ。宗山は「より良いスイングを求めている中で飛距離につながっている」と手応えを明かした。DeNA・八馬アマスカウティングディレクターは「技術力が高く、ケガしている間にも良い力感ができている。成長して帰ってきたのはさすが」とたたえる。

 「優勝というチームの目標のため、勝敗に関わるプレーを意識したい」と宗山。運命の10・24を心地よく迎えるためにも、充実のラストシーズンとする。(デイリースポーツ・間宮涼)

 ◆宗山 塁(むねやま・るい)2003年2月27日生まれ。21歳。広島県三次市出身。175センチ、80キロ。右投げ左打ち。小学1年から三良坂少年野球クラブで野球を始め、中学時代は軟式の高陽スカイバンズでプレー。広陵では1年夏からベンチ入りし、同年夏と2年春に甲子園出場。明大では1年春途中からレギュラーをつかみ、2年春は首位打者。ベストナインは3度。今年3月に侍ジャパントップチームに選出されるも、オープン戦で受けた死球による右肩甲骨骨折が判明し欠場。