独9月のインフレ率、1.8%に低下 ECB追加利下げに期待

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[ベルリン 30日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が30日発表した9月の消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比1.8%上昇と、8月の2.0%上昇から伸び率が鈍化した。ロイターがまとめた市場予想1.9%上昇をわずかに下回り、2021年2月以来の低いインフレ率を記録したことで、欧州中央銀行(ECB)の緩和容認派が10月の追加利下げを促す材料となった。

2%のインフレ目標を掲げるECBは、今年既に2回の利下げを実施している。市場は足元で、10月に0.25%ポイントの追加利下げが行われる可能性を見込んでいる。INGのグローバルマクロ責任者、カーステン・ブレズキ氏は、ドイツのインフレ率はECBが10月の会合で利下げを再び議題に上げる根拠を強めるものだと指摘した。

ドイツのCPIの先行きに関しては、安定的に推移しながら年末に向けてわずかに上昇するとみられている。9月の価格変動の大きい食品とエネルギー価格を除いたコアインフレ率は2.7%となり、8月の2.8%から低下した。

スペインやフランスでもインフレ率が緩和傾向にあるほか、30日のデータでは、イタリアでもインフレ率の低下が確認された。キャピタル・エコノミクスの欧州チーフエコノミスト、アンドリュー・ケニンガム氏は、9月のユーロ圏の主要国のインフレ率の低下と、経済減速が示されたことから「われわれが予想していたよりも早いペースでの利下げに傾いている」と述べた。

10月1日にはユーロ圏の9月のインフレ率が発表される。ロイターがまとめた市場予想では1.9%と、前月の2.2%からさらに伸び率が低下すると見込まれている。ただ、ECBは9月のインフレ鈍化は一過性にとどまり、今後数カ月でインフレが再び上昇する可能性があるとも警告している。