【恐怖】ドライバーが30ヤードしか飛ばない…!? プロがイップスになった瞬間とは?

写真拡大 (全4枚)

“イップス”は 「自分はならない」と思っていませんか?決して他人事ではなく、ゴルファーなら誰でもかかる。しかもゴルフを一生懸命やるほどかかりやすいんです!

なぜイップスにかかるのか、どんな症状が現れ、どうやって克服するのか。それを事前に知ることが、イップス予防の最善策になります。

長尺パターを使ったら気持ち悪さが消えた

スイング改造だけでなく、進化したクラブ性能の特徴も受け入れ、その両方を大きく変えることでイップスの根絶に取り組んだ

パッティングからはじまった私のイップスですが、大きな慣性モーメントのパターを活用するという中嶋常幸プロのアドバイスで、やや好転したように見えました。

しかし、自分でもしっかりと対策をした2009年の開幕戦、東建コーポレーションで初日から再びイップスの症状が……。これは正直、ショックでしたね。「オフに取り組んできた練習は何だったのか」と大きな失望がありました。結局、その年はツアーでも振るわず、QTも失敗。ツアープレーヤーとしてのキャリアが、イップスに足を引っ張られる形となったのです。

イップスは成績が落ちるだけでなく、気持ち悪さが残るのが嫌で、夜も寝れないような不快感が残ります。ところが、2011年から使用した長尺パターだと、その気持ち悪さがないことを発見しました。仮に40パットしたとしても、イップスの気持ち悪さはない。

そのメリットがあるので、今も長尺パターを使っています。たまに短いパターを使うこともありますが、やはり、気持ち悪さがまた出てしまうのです。あとになって短いパターを使うときは、クロウグリップにすると、気持ち悪さが出ないことがわかりました。

ドライバーの大型化がイップスを招いた

パッティングのイップスによる気持ち悪い感覚は、ほかのプレーにも影響を及ぼしました。ゾワゾワっとする嫌な感覚が、ほかにも伝染するのです。出ないときはまったく出ないのですが、結果的に、パッティングからはじまり、ドライバー、アイアン、アプローチとほとんどでイップスを経験することになりました。

ドライバーのイップスは、ヘッドの体積が400ccを大きく超えはじめる大型化の時代に起こりました。精神的な側面がきっかけであったかもしれませんが、10年間でヘッドの大きさが倍近く大きくなり、ドライバーの特性が大きく変わったことは、イップスと無関係ではなかったと思います。

私と同じように、現代の大型で大慣性モーメントヘッドのドライバーを苦手にしているベテランゴルファーはほかにもいると思います。今まで使っていたクラブと挙動が大きく違うものは、振りやすさを確保しないと、ドライバーイップスの兆候が表れるかもしれません。

やさしいクラブに合わせた打ち方で克服

ドライバーでのイップスは切り返しでヘッドがスムーズに下りてこない。そして、インパクトに向かってヘッドが出なくて、ひどいときは大ダフリやトップしてしまい 、20、30ヤードしか飛ばないことも……。これはのちに、アイアンにも同じ症状が出てきてきました。

結果として、イップスは3年くらい続きましたが、スイングのみならず、クラブ選びも改めることで改善へと向かっていきました。

イップスになるまでは低スピンで球が上がらず、左にいかないドライバーが好みで、かなり強めのストロンググリップから強めのハンドファーストでぶつけるような打ち方をしていました。それでも、いいときは安定したフェードが打てましたが、ヘッドの走りにブレーキがかかることもあって、それがイップスを助長したのです。

そこで私がとった対策は、グリップをスクエアにして、ドライバーは球が上がりやすく、つかまりのよいヘッドに変更。そして、意図的に切り返しで振り遅れるような〝間〞を作るようにしました。ヘッドが下りにくいものを無理に下ろそうとするのをやめたことで、自然なダウンスイングを取り戻したのです。

Lesson】ヘッドが出ずダフリやチョロが出るとき

ヘッドをボールにぶつけるようなスイングで、かなりきつめのハンドファーストで打っていたが、近代クラブはこの打ち方だとヘッドが走らなくなってしまった

[対策]切り返しで振り遅れるくらいの "間" を作る

切り返しで振り遅れるくらいの “間” を意図的に作るスイングに改造し、クラブをインサイドから下ろすことでドライバーイップスの症状が出なくなった

解説=市原建彦
●いちはら・たつひこ/1978年生まれ、神奈川県出身。06年「アサヒ緑健よみうり」でツアー初優勝。現在はレッスン活動とともに、ミニトーナメント「FJツアー」を主宰。ツアー参戦中の2000年ごろイップスの兆候が現れたという。

構成=コヤマカズヒロ
写真=相田克己
協力=ゴルフラボ